icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻10号

2011年09月発行

早期胃癌研究会症例

狭窄型虚血性小腸炎の1例

著者: 山本貴嗣1 白井告1 磯野朱里1 江波戸直久1 三科友二1 阿部浩一郎1 石井太郎1 久山泰1 松田圭二2 渡邉聡明2 福島純一3

所属機関: 1帝京大学医学部内科学講座 2帝京大学医学部外科 3NTT関東病院病理診断部

ページ範囲:P.1544 - P.1550

文献概要

要旨 患者は60歳代,男性.高血圧の既往あり.2009年1月肺炎および心不全,心房細動にて緊急入院した.治療により全身状態は改善したが,経口摂取を開始後より腹痛,嘔吐が出現し腸閉塞と診断した.イレウス管造影では回腸に高度狭窄を認め,造影剤はわずかに流れる程度であった.経肛門小腸内視鏡で回腸遠位部に狭窄と腸管膜付着部対側の縦走潰瘍を認め,潰瘍底は顆粒状を呈していた.保存的治療にて改善せず,回腸部分切除を施行.病理検査にて虚血性小腸炎と診断した.虚血性小腸炎の内視鏡所見についての報告は少ない.本症例で認めた腸管膜付着部対側の縦走潰瘍は本疾患に特徴的と考えられた.また潰瘍底の顆粒状変化は強い肉芽性変化を示しており,保存的治療の限界を示唆する所見と思われた.

参考文献

1)Räf LE. Ischemic stenosis of the small intestine. Acta Chir Scand 135 : 253, 1969
2)佐田美和,小林清典,竹内瞳,他.虚血性小腸炎.胃と腸 43 : 617-623, 2008
3)Gillet M, Philippe E, Stoebner P, et al. Cicatricial stenosis of the small intestine of ischemic origin : 7 cases. Ann Chir 23 : 481-491, 1969
4)岩下明徳,八尾隆史,飯田三雄,他.虚血性小腸狭窄(狭窄型虚血性小腸炎)の臨床病理学的検討.胃と腸 25 : 557-569, 1990
5)勝又伴栄,岡部治弥,中英男.虚血性小腸狭窄の臨床的および病理組織学的研究.日内会誌 74 : 1658-1671, 1985
6)山本智文,青柳邦彦,飯田三雄.血管性病変─虚血性小腸疾患.八尾恒良,飯田三雄(編).小腸疾患の臨床.医学書院,pp 199-210,2004
7)管隼人,古川清憲,鈴木英之,他.術前にダブルバルーン式小腸鏡にて病変部を観察し腹腔鏡補助下に切除術を行った狭窄型虚血性小腸炎の1例.日消外会誌 40 : 1514-1519, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら