胃と腸46巻10号

2011年09月発行

胃と腸 図譜

低異型度胃型胃癌

著者： 松田彰郎¹ 西俣伸亮¹ 島岡俊治¹ 西俣嘉人¹

所属機関： ¹公益社団法人鹿児島共済会南風病院消化器内科

ページ範囲：P.1562 - P.1565

1概念，病態
　胃癌の組織型は未分化型と分化型の2つに分類されている^1）．従来，分化型癌は腸型の癌と考えられてきたが，免疫組織化学染色の発達により胃型の粘液形質をもつ分化型癌はまれでないことが報告され，胃型腺癌の疾患概念が確立してきた．胃型腺癌の病変は境界が不明瞭な形態を呈しやすいこと，未分化型癌に変化する可能性があることなどが報告されている^2）3）．一方，九嶋ら^4）は低異型度分化型癌を下記のように類型化している．（1） 固有胃腺やその反応性変化との鑑別が困難な胃癌 : 胃型胃癌，（2） 腸上皮化生との鑑別が困難な胃癌 : 腸型低異型度腺癌，（3） 手つなぎ，（4） 横這い型癌・腺腫との鑑別が困難な胃癌．

参考文献

1）中村恭一．胃癌の構造，第3版．医学書院，2005

2）吉野孝之，下田忠和，斎藤敦，他．早期胃癌における胃型分化型腺癌の肉眼的特徴とその臨床治療．胃と腸 34 : 513-525, 1999

3）松田彰郎，西俣嘉人，大井秀久，他．胃型分化型早期胃癌の画像診断─X線を中心に．胃と腸 38 : 673-683, 2003

4）九嶋亮治，松原亜季子，谷口浩和，他．低異型度分化型胃癌の病理学的特徴─腺腫との鑑別を含めて．胃と腸 45 : 1086-1096, 2010

5）西倉健，味岡洋一，渡邉玄，他．低異型度分化型胃癌の病理学的特徴─肉眼像を含めて．胃と腸 45 : 1061-1072, 2010