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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻11号

2011年10月発行

文献概要

今月の主題 十二指腸の腫瘍性病変 序説

十二指腸の腫瘍性病変

著者: 芳野純治1

所属機関: 1藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科

ページ範囲:P.1585 - P.1586

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十二指腸の発生

 十二指腸は小腸の一部とされるが,その発生は小腸と全く同じではない.すなわち,消化管は発生学的に前腸,中腸,後腸に分けられ,十二指腸は前腸の遠位部と中腸の近位部から成り,総胆管の開口部の遠位側あたりに前腸と中腸の移行部がある.このため十二指腸の血管支配は複雑で,十二指腸上部では腹腔動脈から分枝した胃十二指腸動脈のさらに分枝である上膵十二指腸動脈から血流を受ける.一方,十二指腸下部は上十二指腸動脈の分枝である下膵十二指腸動脈により支配される.十二指腸は発生の途中で腸間膜を失い,後腹膜に埋もれて固定される.

 消化管ホルモンでは球部を中心に,セクレチン,コレシストキニン,胃抑制ペプチド(gastric inhibitory peptide ; GIP)の産生細胞が存在する.運動と機能は主として前腸では蠕動と消化,中腸では振り子運動と吸収である.十二指腸に特徴的なBrunner腺は,小児では十二指腸球部から空腸まで及んでいるが,成人になると球部から乳頭部までの部位に限局するようになる.病変の発生とのかかわりでは,Brunner腺腫は当然のことであるが,腺腫やカルチノイドも十二指腸では球部や下行部に極めて多い.発生学的にVater乳頭部より口側と肛門側では差があり,Vater乳頭部を境に分けて考える必要もあるのではないかとも考える.

参考文献

1)ワークショップ9「十二指腸潰瘍カルチノイドの病態と治療」.Gastroenterol Endosc 51(臨増): S768-S772, 2009
2)味岡洋一,渡辺英伸,成沢林太郎,他.十二指腸の腫瘍・腫瘍様病変の病理.胃と腸 28 : 627-638, 1993
3)横山正,斎藤大三,近藤仁,他.十二指腸悪性腫瘍の内視鏡診断.胃と腸 28 : 641-649, 1993
4)川元健二,植山敏彦,岩下明徳,他.十二指腸球部隆起性病変の鑑別診断─特に良・悪性の鑑別診断について.胃と腸 28 : 651-669, 1993
5)原岡誠司,岩下明徳.十二指腸粘膜の特異性と小病変の病理─特に腫瘍及び腫瘍様病変について.胃と腸 36 : 1469-1480, 2001
6)川元健二,牛尾恭輔,井野彰浩,他.腫瘍性・腫瘍様十二指腸小病変の診断.胃と腸 36 : 1507-1527, 2001
7)中村常哉,鈴木隆史,松浦昭,他.十二指腸悪性リンパ腫の臨床病理学的特徴.胃と腸 36 : 1529-1540, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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