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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻12号

2011年11月発行

文献概要

今月の主題 Barrett食道癌の診断 主題

Barrett食道癌の内視鏡診断―拡大内視鏡を併用した側方範囲診断

著者: 小山恒男1 友利彰寿1 高橋亜紀子1 北村陽子1 篠原知明1 國枝献治1 岸埜高明1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.1836 - P.1842

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要旨 2000年11月から2011年3月までに内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)にて治療したBEA(Barrett's esophageal adenocarcinoma)30例,36病変を対象とし,側方進展範囲診断を検討した.側方進展範囲は拡大内視鏡で行い,全例が一括切除された.割入り標本の実体顕微鏡像上に癌の範囲をマッピングし,内視鏡像と対比することで内視鏡上の側方進展範囲を確認した.主肉眼型は0-I型が7病変,0-IIa型が17病変,0-IIb型が4病変,0-IIc型が8病変であった.純粋な0-IIb型を除く32病変中16例(50%)でIIb進展を合併し,その範囲は5(1~53)mmであった.通常内視鏡での随伴IIb診断率は25%(4/16)であったが,拡大観察では94%(15/16)であった.36病変中30病変(83%)がSCJ(squamocolumnar junction)と接していた.このうち13病変は扁平上皮下を口側へ進展し,その平均距離は4.3(最大9)mmであった.扁平上皮下進展を示唆する所見としてSMT様の厚み,扁平上皮下の異常血管透見,扁平上皮の小孔が挙げられたが,所見のない病変も3例(23%)存在した.

参考文献

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2)小山恒男,宮田佳典,友利彰寿,他.Barrett食道癌の境界を読む─範囲診断を中心に.胃と腸 39 : 1243-1249, 2004
3)小山恒男,友利彰寿,堀田欣一,他.Barrett食道およびBarrett食道癌の拡大観察.臨消内科 21 : 407-413, 2006
4)小山恒男,高橋亜紀子,北村陽子,他.咽頭・食道─Barrett食道癌の拡大内視鏡診断.胃と腸 42 : 691-695, 2007
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6)小山恒男(編).ESDのための胃癌術前診断.南江堂,2010
7)小山恒男(編).胃癌治療のmodalityとstrategy.日本メディカルセンター,2011
8)田沼徳真,小山恒男,宮田佳典,他.胃食道逆流関連疾患─Barrett食道・Barrett食道癌の内視鏡診断.臨消内科 23 : 949-957, 2008
9)山形拓,平澤大,藤田直孝.バレット食道の病態と診断をめぐって─Barrett食道癌における扁平上皮下進展診断の検討.Gastroenterol Endosc 53(Suppl1): 719, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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