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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻13号

2011年12月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

著明な狭窄を伴う全周性の潰瘍を呈した腸結核の1例

著者: 上田渉12 大川清孝13 佐野弘治1 有本雄貴12 三宅清花14 末包剛久1 久保勇紀5 井上健5 江頭由太郎6

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立十三市民病院消化器内科 3大阪市立住吉市民病院消化器内科 4大阪鉄道病院消化器内科 5大阪市立総合医療センター病理部 6大阪医科大学第一病理

ページ範囲:P.2024 - P.2030

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要旨 患者は20歳代,女性.腹痛,下痢,微熱を主訴に来院した.注腸X線検査では,回盲部に著明な狭窄を呈した.下部内視鏡検査で狭窄部に全周性の潰瘍を認めた.潰瘍底は顆粒状で白苔はみられず,潰瘍辺縁になだらかな周堤を伴っていた.潰瘍肛門側辺縁には発赤が認められた.病変部からの生検培養と便培養にて結核菌を認め,また肺結核も認められたため,続発性腸結核と考えられた.抗結核療法後,腸閉塞を呈し右半結腸切除術が施行された.通常腸結核の潰瘍は浅いが,本症例はUl-IIIからUl-IVの深い全周性潰瘍を呈しており,画像所見から腸結核を疑うことは難しかった.本例は深い潰瘍と膿瘍を形成することで,筋層から漿膜下層にかけて強い線維化を来したために,腸壁の肥厚と著明な狭窄を来したと考えられた.

参考文献

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2)樋渡信夫,野口光徳,鈴木仁人,他.腸結核診断の現状─最近の当科経験例を中心に.胃と腸 30 : 497-506, 1995
3)八尾恒良,桜井俊弘,山本淳也,他.最近の腸結核10年間の本邦報告例の解析.胃と腸 30 : 485-490, 1995
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5)黒丸五郎.腸結核症の病理.医学書院,1952
6)長廻紘,佐々木宏晃,青木暁,他.大腸結核の内視鏡診断.胃と腸 12 : 1623-1635, 1977
7)松永藤雄.大腸疾患.南紅堂,pp 265-268, 1977
8)Kim KM, Lee A, Choi KY, et al. Intestinal tuberculosis : clinicopathologic analysis and diagnosis by endoscopic biopsy. Am J Gastroenterol 93 : 606-609, 1998
9)松本由美,安永祐一,浜部敦史,他.抗結核療法中にイレウスを発症した腸結核の1例.日消誌 106 : 208-215, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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