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書評「炎症性腸疾患鑑別診断アトラス」
著者: 酒井義浩1
所属機関: 1東京医科大学
ページ範囲:P.173 - P.173
文献購入ページに移動 元来アトラスは地図帳であったようだが,いつのまにか図譜を指す.だから多くの図が必要であり,そのために長い年月か多数の協力者,またはその両方を必要とする.本書は内視鏡に青春をかけて,今や重鎮とも言うべき3名の編者を得て,多数の執筆陣からなる豪華な出来栄えになっている.
しかし,先にひとつ苦言を加えれば,「下血」の表現である.下血は上部消化管出血のメレナの邦語訳である.タール便ともいう.であるから,大腸には有り得ないはずであるのに,堂々と登場するのは困ったものである.指導者が,また本書のような指導書が,誤った用語を表記すると,誤りを伝播することになり,その責任は重い.忙しい編者が提出された文章をすべて点検することは無理かもしれない.が,一点の誤りが命取りになりかねないことから,誠に惜しい失点になってしまっている.別に目くじら立てなくたって…という意見もある.みんなで使えば怖くない…とも言われる.しかし,用語というものはすべて定義があることを忘れてはならないし,仮に翻訳して世界に出すときに,恥をかかないようにしてもらいたいものである.英語で出版しても,充分評価されうる内容であるだけに遺憾としか言いようがない.
しかし,先にひとつ苦言を加えれば,「下血」の表現である.下血は上部消化管出血のメレナの邦語訳である.タール便ともいう.であるから,大腸には有り得ないはずであるのに,堂々と登場するのは困ったものである.指導者が,また本書のような指導書が,誤った用語を表記すると,誤りを伝播することになり,その責任は重い.忙しい編者が提出された文章をすべて点検することは無理かもしれない.が,一点の誤りが命取りになりかねないことから,誠に惜しい失点になってしまっている.別に目くじら立てなくたって…という意見もある.みんなで使えば怖くない…とも言われる.しかし,用語というものはすべて定義があることを忘れてはならないし,仮に翻訳して世界に出すときに,恥をかかないようにしてもらいたいものである.英語で出版しても,充分評価されうる内容であるだけに遺憾としか言いようがない.
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