文献詳細
学会印象記
JDDW 2010(第18回日本消化器関連学会週間)―大腸,特に炎症性腸疾患に関するテーマを中心に
著者: 中村志郎1
所属機関: 1兵庫医科大学内科学下部消化管科
ページ範囲:P.192 - P.193
文献概要
まず,学会初日の13日は午前中に,自分自身が下部消化管内視鏡医として日頃から検診業務にも関与していることから,樋渡信夫会長が主催された日本消化器がん検診学会の宿題講演と会長講演を拝聴させていただいた.西田博先生の宿題講演「便潜血検査を用いた大腸がん検診の費用便益分析」は,本邦の経済状況も年々厳しさを増すなか,検診の精度と医療経済学的な効率の両立という難問に真正面から取り組まれた充実の講演であった.樋渡会長の会長講演「大腸がん検診─歩んできた道,そしてこれから」は,ご自身のルーツの1つでもあり,日本のがん検診の草分けとなった宮城県対がん協会(初代会長黒川利雄先生)のお話に始まり,会長が深くかかわってこられた大腸癌検診の歴史とこれからについて講演された.2007年に「がん対策推進基本計画」が策定されたのも,これまでがん検診学に尽力された諸先生のご努力の賜物と痛感させられた.昨今,メタボリックシンドロームを中心とする特定機能検診の開始に伴って,大腸がん検診の受診率が低下している自治体も多いと聞いており,大腸内視鏡に伴う患者の負担感の緩和や広報活動などを通じた受診率の改善が急務と思われる.
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