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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻3号

2011年03月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

併存する炎症性ポリープの消長を観察しえた膵炎による大腸狭窄の1例

著者: 樫村弘隆1 樫村好夫1 池上雅博2 山口裕一郎3 梶本徹也4 八尾隆史5

所属機関: 1樫村胃腸科外科 2東京慈恵会医科大学病院病理部 3静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 4富士市立中央病院外科 5順天堂大学医学部人体病理病態学

ページ範囲:P.327 - P.335

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要旨 患者は51歳,男性.便潜血陽性で行った大腸内視鏡検査で,脾彎曲部にブドウの房状に集簇する炎症性ポリープと浮腫性の狭窄を認めた.6か月後にはポリープと狭窄は消失していたが,その10か月後の注腸X線検査で鋸歯状変化を伴う再度の狭窄所見を認めた.伸展性が良好で粘膜面は浮腫の所見であること,膵炎の既往があることから,膵炎による大腸狭窄の可能性を考えCTを施行したところ,慢性膵炎が下行結腸に波及する像を認めた.保存的治療により,2か月後および4か月後の再検では狭窄は軽減していたが炎症性ポリープの再形成を認めた.膵炎による大腸狭窄で内視鏡像の変化と炎症性ポリープの消長を観察しえたまれな症例と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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