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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻4号

2011年04月発行

今月の主題 大腸鋸歯状病変と癌化

主題症例

sessile serrated adenoma/polypに合併した大腸粘膜下層浸潤癌の1例

著者: 藤井茂彦1 日下利広1 山川雅史1 古賀英彬1 糸川芳男1 田中秀行1 山口大介1 楠本聖典1 吉岡拓人1 臼井智彦1 田中泰敬1 中井喜貴1 畦地英全1 國立裕之1

所属機関: 1京都桂病院消化器センター消化器内科

ページ範囲:P.469 - P.474

文献概要

要旨 患者は72歳,男性.便潜血反応陽性のため施行した下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に10mm大の広基性隆起性病変を認めた.病変は丈の高い隆起部と低い部分から成り,丈の低い部分はII型に類似したpitがみられたが,NBIでは網目状の微細血管パターンが観察された.丈の高い隆起部では大小不同な管状pitが密に分布しており,一部では辺縁に不整を伴うpitの混在を認めVI軽度不整pitに相当した.さらにNBIでも不整な表面模様と微細血管パターンがみられた.腺腫あるいは鋸歯状病変に合併した粘膜内癌と診断し,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織所見は丈の高い隆起部に一致して粘膜下層へ浸潤する管状腺癌を認めた.丈の低い部分は鋸歯状腺管から成り,細胞異型は軽度であったが腺底部では腺管密度が増加し,不規則な分岐や拡張を伴う腺管の構造異常を認めたためSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)と診断した.本病変はSSA/Pに合併した粘膜下層浸潤癌と考えられた.

参考文献

1)Torlakovic E, Snover DC. Serrated adenomatous polyposis in humans. Gastroenterology 110 : 748-755, 1996
2)Torlakovic E, Skovlund E, Snover DC, et al. Morphologic reappraisal of serrated colorectal polyps. Am J Surg Pathol 27 : 65-81, 2003
3)Farris AB, Misdraji J, Srivastava A, et al. Sessile serrated adenoma : challenging discrimination from other serrated colonic polyps. Am J Surg Pathol 32 : 30-35, 2008
4)Longacre TA, Fenoglio-Preiser CM. Mixed hyperplastic adenomatous polyps/serrated adenomas. A distinct form of colorectal neoplasia. Am J Surg Pathol 14 : 524-537,1990
5)林大久生,上山浩也,三富弘之,他.鋸歯状病変の癌化.武藤徹一郎(監),藤盛孝博(編).大腸疾患NOW─大腸癌取扱い規約 : 病理診断上の問題点.日本メディカルセンター,pp 151-161,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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