5.食道表在癌の深達度診断
1)X線診断
著者:
高木靖寛
,
小野陽一郎
,
平井郁仁
,
長浜孝
,
槙信一朗
,
別府孝浩
,
矢野豊
,
松井敏幸
,
岩下明徳
,
原岡誠司
,
池田圭祐
,
田邉寛
,
大田敦子
,
大重要人
,
金光高雄
,
冨安孝成
,
二見喜太郎
,
前川隆文
ページ範囲:P.634 - P.649
要旨 当科における食道表在癌128例134病変のX線所見について,形態によりA.平坦陥凹型(94病変)とB.隆起型(40病巣)に分けて検討した.A.平坦陥凹型:(1)正面像でうねりや厚み,濃い陰影斑,辺縁隆起はMM以深癌で出現し,高率にSM2,3癌に認められた.(2)EP,LPM癌の側面像は大半が無変形であったが,MM,SM1癌でも69%に認められた.(3)側面像における陰影欠損,不整硬化のSM2,3癌に対する特異度は高く診断に有用であった.(4)MM,SM1癌の無変形群と変形群の比較では,前者のMM浸潤幅は平均2.8mmで後者の平均9.7mmに比べ浸潤幅が狭かった.(5)SM2,3癌で陰影欠損,不整硬化を呈した病変の平均SM浸潤幅は平均9.2mmで,呈さなかった病変の4.0mmに比べ浸潤幅が広かった.B.隆起型:(1)正面像で隆起径16mm以上はすべてSM2,3癌であり,10mm以上の0-I型は93%がSM2,3癌であった.(2)6~9mmの0-IIaでは64%がMM,SM1癌であった.(3)側面像における陰影欠損のSM2,3癌に対する特異度は高く診断に有用であった.結論:X線正面像におけるうねるような凹凸,濃い陰影斑,辺縁隆起,10mm以上の丈の高い隆起,さらに側面像における陰影欠損,不整硬化はSM2,3癌に高率にみられ,MM,SM1癌との鑑別を含めた深達度診断に有用である.