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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻5号

2011年05月発行

文献概要

特集 食道表在癌2011 主題 4.食道表在癌のスクリーニング

2)経鼻内視鏡

著者: 川田研郎1 河野辰幸1 永井鑑1 西蔭徹郎1 中島康晃1 鈴木友宜1 チラワット・サーワンスィ1 星野明弘1 宮脇豊1 岡田卓也1 太田俊介1 河内洋2 杉本太郎3

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院食道・一般外科 2東京医科歯科大学医学部附属病院病理科 3東京医科歯科大学医学部附属病院頭頸部外科

ページ範囲:P.601 - P.610

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要旨 経鼻内視鏡は咽頭反射が少なく,患者の受容性が高い検査であるが,相対的に画質が劣ることからその有用性は必ずしも明らかでなかった.しかし,年々機器の改良が行われ,2009年からは高画質でFICEを標準装備,画角が140°の経鼻内視鏡も一般に使用が可能となった.Valsalva法を用いると,頭頸部癌,食道癌患者78例中50例(64%)に輪状後部と下咽頭後壁の接着が完全に解除され,狭い空間にスコープを滑り込ませることで,食道入口部の良好な視野が得られた.従来の汎用内視鏡では得られなかった視野であり,新しい内視鏡診断法として有用である.また,この1年間での経鼻内視鏡による頭頸部癌または食道癌患者170例を対象とした同時性,異時性食道癌の発見頻度では11例14病変(6.5%)の発見が可能であった.早期発見のコツは,十分に食道を伸展させ異常があれば近接し,FICEの併用,および時間をかけた観察が有用である.さらなる画質の向上により,経鼻内視鏡は今後標準的なスクリーニング検査法になると考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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