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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻5号

2011年05月発行

特集 食道表在癌2011

主題 5.食道表在癌の深達度診断

4)FICE併用拡大内視鏡

著者: 有馬美和子1 有馬秀明2 多田正弘1 田中洋一3

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2有馬外科胃腸科 3埼玉県立がんセンター消化器外科

ページ範囲:P.677 - P.686

文献概要

要旨 FICE併用拡大内視鏡による食道表在癌の深達度診断の成績と問題点について,食道表在癌267病巣を対象として検討した.微細血管分類type 3とtype 4SをEP/LPM癌,type 4Mとard3をMM/SM1癌,type 4Lとard4をSM2/SM3癌の診断規準とすると,EP/LPM癌の診断率は98.9%,MM/SM1癌は78.6%,SM2/SM3癌は69.4%,全体で92.5%の正診率であった.type 4Rを示した13病巣中12病巣(92%)が低分化型扁平上皮癌や特殊な組織型,INFcの浸潤様式を呈した.EP/LPM癌の診断率は通常内視鏡でも良好であるが,拡大観察を併用することで血管形態から生検することなくEP/LPM癌と確診することが可能となり,診断の質が向上した.また,隆起性病変の質的評価に特に有効であった.MMとT1b癌では,通常観察で気付かなかった微細な浸潤部を指摘できるようになったこと,肥厚や隆起を血管像から正しく診断できるようになったことが診断率の向上につながっていた.拡大観察による誤診の主な原因は表層が浅い癌で覆われ,その深部に存在する浸潤巣の変化をとらえられなかったことによる浅読みであった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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