icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻6号

2011年05月発行

文献概要

今月の主題 胃腫瘍の拡大内視鏡診断 主題

胃癌側方進展範囲診断―FICE拡大内視鏡による胃癌側方進展範囲診断

著者: 三浦義正1 大澤博之1 山本博徳1 阿治部弘成1 當摩祥子1 吉澤充代1 牛尾純1 佐藤貴一1 菅野健太郎1

所属機関: 1自治医科大学内科学講座消化器内科学部門

ページ範囲:P.923 - P.931

文献購入ページに移動
要旨 早期胃癌に対する治療法の進歩により,サイズの大きな病変であっても一括切除が可能となったが,それには正確な範囲診断が必要となる.FICEによる早期胃癌の範囲診断では,非拡大FICE観察で全体像を把握し,弱から中拡大のFICEの近接像で癌部と非癌部の境界診断を行うことが可能である.筆者らの施設ではFICE導入後に側方断端陰性率は93.8%から96.7%に向上した.最新のプロセッサーVP-4450を使用したFICE範囲診断では,側方範囲診断は98.3%であったが,過剰切除も考慮した範囲診断正診率は94.8%であった.20mmより大きい腫瘍径と随伴IIbの存在が有意に範囲診断正診率の低下の原因であった.随伴IIbの正診率は80%と良好であったが,癌の構造異型と背景粘膜との差異が少ない症例や異型度が低い0-IIb症例では,範囲診断を正診できない場合もあることを認識しておかなければならない.

参考文献

1)藤田寛.最新の内視鏡機器の解説─フジノン株式会社.胃と腸 42 : 539-544, 2007
2)Osawa H, Yoshizawa M, Yamamoto H, et al. Optimal band imaging system can facilitate detection of changes in depressed-type early gastric cancer. Gastrointest Endosc 67 : 226-234, 2008
3)Yoshizawa M, Osawa H, Yamamoto H, et al. Diagnosis of elevated-type early gastric cancers by the optimal band imaging system. Gastrointest Endosc 69 : 19-28, 2009
4)Mouri R, Yoshida S, Tanaka S, et al. Evaluation and validation of computed virtual chromoendoscopy in early gastric cancer. Gastrointest Endosc 69 : 1052-1058, 2009
5)小山恒男,高橋亜紀子,北村陽子,他.内視鏡による早期胃癌のIIb進展範囲診断─NBI拡大内視鏡の立場から.胃と腸 45 : 109-122, 2010
6)八木一芳,水野研一,中村厚夫,他.内視鏡による早期胃癌の0IIb進展範囲診断─酢酸拡大内視鏡検査の立場から.胃と腸 45 : 60-70, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?