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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻7号

2011年06月発行

今月の主題 腸管Behçet病と単純性潰瘍─診断と治療の進歩

主題症例

インターフェロン治療により発症・再発した単純性潰瘍の1例

著者: 垂石正樹1 斉藤裕輔1 富永素矢1 小澤賢一郎1 杉山隆治1 鈴木聡1 中村和正1 助川隆士1 千葉篤1 高田明生2

所属機関: 1市立旭川病院消化器病センター 2市立旭川病院臨床病理部

ページ範囲:P.1081 - P.1089

文献概要

要旨 患者は63歳,男性.C型慢性肝炎治療のため前医でINF(Peg-INFα2a)投与後に腹痛,発熱,下痢が出現.CTで回腸終末部に壁肥厚がみられ,回腸炎と診断した.保存治療で軽快し,INFの影響を考え以後投与を見合わせた.しかし7か月後に再度同様の症状が出現し,当科へ紹介となった.大腸内視鏡で回腸終末部に深い下掘れ潰瘍がみられ,画像所見と臨床経過から単純性潰瘍と診断した.栄養療法を行い,症状,検査所見は軽快した.慢性肝炎に対し高い血中濃度が維持されるPEG製剤の使用を避け,INFβ製剤による再治療を行ったところ,5日後に腹痛,発熱,下痢の症状を伴って潰瘍が再燃した.単純性潰瘍の発症・再発にINF投与が関連した症例と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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