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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻8号

2011年07月発行

文献概要

今月の主題 食道の炎症性疾患 主題

感染性食道炎の病理形態学的特徴―127例の病理学的検討結果から

著者: 二村聡1 山田梢1 中村守2

所属機関: 1福岡大学医学部病理学講座 2水北第一病院

ページ範囲:P.1167 - P.1177

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要旨 感染性食道炎と診断された127例の組織検体を用いて,その病理学的特徴を検討した.病原体の内訳は,カンジダ110例,単純ヘルペスウイルス10例,サイトメガロウイルス6例,結核菌1例であった.まず,病巣の臓器分布をみると,カンジダと単純ヘルペスウイルスは食道に限局することが多かったが,サイトメガロウイルスは食道の他に胃腸管や全身諸臓器にも病変を形成していた.次に,肉眼像をみるとカンジダは黄白色調の苔状隆起を,単純ヘルペスウイルスとサイトメガロウイルスは種々の大きさと形状のびらん・潰瘍を形成していた.そして,組織像をみると,カンジダと単純ヘルペスウイルスは重層扁平上皮に,サイトメガロウイルスは間葉系細胞に高頻度に見い出され,いずれのウイルスも封入体を形成していた.これらの特徴を踏まえ,さらに基礎疾患や薬歴などの患者情報を参考にして,病理検体を丁寧に検索すれば,より確かな診断に近づくことが可能と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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