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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻8号

2011年07月発行

文献概要

今月の主題 食道の炎症性疾患 主題

食道炎に伴う接合部病変―癌と鑑別を要する隆起,陥凹

著者: 小山恒男1 高橋亜紀子1 友利彰寿1 篠原知明1 國枝献治1 岸埜高明1 石井英治1 桃井環1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.1202 - P.1212

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要旨 食道胃接合部には発赤や出血,陥凹,隆起,狭窄など,様々な病変が発生する.また,食道胃接合部には扁平上皮癌と腺癌の両方が発生し得るため,その鑑別診断は非常に複雑である.炎症が強い時期に採取された生検では炎症異型が強いため,組織学的な診断が困難なことがある.したがって,むやみに生検を繰り返しても正診に至ることは難しい.内視鏡医はPPI投与後に拡大内視鏡を用いて再検する配慮が求められる.その際,PPIを投与すると炎症は治まるが,癌が扁平上皮に覆われることがあるため,扁平上皮下の所見を追究する努力が必要である.本稿では炎症性ポリープ,乳頭腫,びらん,露出型食道噴門腺,Barrett食道癌を提示し,食道胃接合部癌との鑑別を解説した.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2008
2)Sharma P, Dent J, Armstrong D, et al. The development and validation of an endoscopic grading system for Barrett's esophagus : the Prague C & M criteria. Gastroenterology 131 : 1392-1399, 2006
3)高橋亜紀子,小山恒男,友利彰寿.食道胃接合部腺癌のNBI拡大観察による診断.胃と腸 44 : 1164-1174, 2009
4)小山恒男,宮田佳典,友利彰寿,他.Barrett食道癌の境界を読む─範囲診断を中心に.胃と腸 39 : 1243-1249, 2004
5)小山恒男,友利彰寿,堀田欣一,他.Barrett食道およびBarrett食道癌の拡大観察.臨消内科 21 : 407-413, 2006
6)小山恒男,高橋亜紀子,北村陽子,他.Barrett食道癌の拡大内視鏡診断.胃と腸 42 : 691-695, 2007
7)小山恒男.NBIによるBarrett食道表在癌の内視鏡像.丹羽寛文(監).長南明道,田尻久雄,田中信治(編).内視鏡診断のプロセスと疾患別内視鏡像.日本メディカルセンター,pp 331-333,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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