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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻8号

2011年07月発行

文献概要

今月の主題 食道の炎症性疾患 主題

感染性食道炎―ヘルペス食道炎,サイトメガロウイルス食道病変,食道カンジダ症

著者: 藤原崇1 門馬久美子2 堀口慎一郎3 来間佐和子1 桑田剛1 藤原純子2 田畑拓久1 江川直人1 比島恒和3 柳澤如樹4 味澤篤4 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 2がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 3がん・感染症センター都立駒込病院病理科 4がん・感染症センター都立駒込病院感染症科 5早期胃癌検診協会中央診療所

ページ範囲:P.1213 - P.1224

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要旨 2004年8月から2010年8月までの6年間に施行した上部消化管内視鏡検査46,816例中,病理組織学的にヘルペスウイルス,サイトメガロウイルス,カンジダのいずれかの診断がなされた食道炎を対象に検討した.ヘルペス食道炎は7例(0.015%),サイトメガロウイルス食道病変は25例(0.053%),治療を要するKodsiらによる内視鏡的重症度分類のGrade II以上の食道カンジダ症は30例(0.064%)であった。ヘルペス食道炎の内視鏡像は,混合感染の有無により形態が異なり,単独感染2例では,浅い小潰瘍が多発し,進行に伴い潰瘍は融合し縦走または地図状の潰瘍を形成していた.潰瘍は比較的浅く,潰瘍周囲を縁取るように白濁した粘膜がみられた.CMV食道炎の内視鏡像は,(1)打ち抜き潰瘍と,(2)打ち抜き潰瘍ほど深くない,びらんもしくは潰瘍性病変の2つに大別された.抗CMV薬による治療経過を観察した15例では,全例寛解したが,寛解までの期間は,潰瘍の深さと大きさに関係しており,びらんもしくは潰瘍は2週間で上皮化されたが,打ち抜き潰瘍は上皮化までに3週間以上を要した.治療を要するGrade II~IVの食道カンジダ症は,基礎疾患を有する症例に多く,HIV患者11例,ステロイド使用2例,癌患者11例(術後3例を含む),慢性皮膚粘膜カンジダ1例,肝硬変4例,GERD 1例であった.食道の狭小化を示したGrade IVは1例のみであった.

参考文献

1)Kodsi BE, Wickremesinghe C, Kozinn Pj, et al. Candida esophagitis : a prospective study of 27 cases. Gastroenterology 71 : 715-719, 1976
2)伊藤透.ヘルペス食道炎─30例についての免疫組織学的研究.金沢医大誌 11 : 69-83, 1986
3)小澤壮治,大森泰,幕内博康,他.カンジダ食道炎63例の検討.Prog Dig Endosc 30 : 87-90, 1987
4)Généreau T, Lortholary O, Bouchaud O, et al. Herpes simplex esophagitis in patients with AIDS : report of 34 cases. The Cooperative Study Group on Herpetic Esophagitis in HIV Infection. Clin Infect Dis 22 : 926-931, 1996
5)河村卓二,郡靖裕,河端秀明,他.内視鏡検査後に発症し,初期の内視鏡像を観察しえたヘルペス食道炎の1例.Gastroenterol Endosc 44 : 1073-1076, 2002
6)Obrecht WF Jr, Richter JE, Olympio GA, et al. Tracheoesophageal fistula : a serious complication of infectious esophagitis. Gastroenterology 83 : 1174-1179, 1984
7)深在性真菌症のガイドライン作成委員会(編).深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2007.協和企画,pp 30-31, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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