icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻11号

2012年10月発行

文献概要

胃と腸 図譜

大腸印環細胞癌

著者: 山野泰穂1

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲:P.1718 - P.1721

文献購入ページに移動
1 概念,病態

 Laufmanら1)の報告に始まる大腸印環細胞癌はまれな疾患であり,これまでの報告では全結腸癌の0.24~2.6%とされている2).男女比はほぼ同等とされているが,発症年齢に関しては全結腸癌では70.1歳に対し,大腸印環細胞癌では45.7歳と,若年(40歳未満)発症が多い傾向にあるとされている3).占居部位に関しては,全結腸癌では直腸,S状結腸に多いのに対して,大腸印環細胞癌では盲腸や右側結腸に多いとする報告もあるが,報告例の検討より特に特徴を有さないとされている4)

 悪性度に関して,浸潤性増殖を示す傾向が強いため早期癌での報告例は少なく,SS,SEの強い浸潤を来した進行癌の状態で発見されることが多い.したがって,リンパ管侵襲,静脈侵襲とも高度に認め,リンパ節転移,腹膜播種が高率に認められる一方で,肝転移の報告はなく,遠隔転移として皮膚,乳腺,卵巣,前立腺へ転移の報告があるが,まれである5)

参考文献

1)Laufman H, Saphir O. Primary linitis plastica type of carcinoma of the colon. AMA Arch Surg 62 : 79-91, 1951
2)後藤順一,北健吾,藤好真人,他.大腸印環細胞癌の臨床病理学的検討.日臨外会誌 66 : 2915-2920, 2005
3)牧野知紀,三嶋秀行,池永雅一,他.大腸印環細胞癌の臨床病理学的検討.日消外会誌 39 : 16-22, 2006
4)野間大督,長谷川慎一,吉田達也,他.未成年者に発症した上行結腸印環細胞癌の1例.日臨外会誌 72 : 931-935, 2011
5)吉川徹二,庄田勝俊,北川昌洋,他.前立腺転移を伴い,2年間の長期生存が得られた大腸印環細胞癌の1例.日消外会誌 44 : 482-489, 2011
6)Kawabata Y, Tomita N, Monden T, et al. Molecular characteristics of poorly differentiated adenocarcinoma and signet-ring-cell carcinoma of colorectum. Int J Cancer 84 : 33-38, 1999
7)Sasaki S, Masaki T, Umetani N, et al. Characteristics in primary signet-ring cell carcinoma of the colorectum, from clinicopathological observations. Jpn J Clin Oncol 28 : 202-206, 1998
8)河崎千尋,九嶋亮治,服部隆則,他.大腸印環細胞癌の生物学的特性に関する検討.日本大腸肛門病会誌 47 : 476-484, 1994
9)円尾隆典,広岡大司,土細工利夫,他.大腸早期印環細胞癌の1例.Gastroenterol Endsc 34 : 2631-2634, 1992
10)森山仁,澤田寿仁,宇田川晴司,他.大腸印環細胞癌の臨床病理学的検討.日本大腸肛門病会誌 56 : 174-179, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら