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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻12号

2012年11月発行

文献概要

今月の主題 高齢者消化管疾患の特徴 主題

高齢者非腫瘍性疾患の特徴―高齢者炎症性腸疾患の特徴

著者: 長沼誠1 岩男泰2 松岡克喜3 矢島知治3 久松理一3 金井隆典3 井上詠2 緒方晴彦1 日比紀文3

所属機関: 1慶應義塾大学内視鏡センター 2慶應義塾大学予防医療センター 3慶應義塾大学消化器内科

ページ範囲:P.1819 - P.1827

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要旨 高齢者炎症性腸疾患患者の臨床的特徴について検討した.65歳以上の高齢者の割合はUCで19.3%,CDで9.5%であり,UCのほうがCDより有意に高齢者の割合が高かった.治療法では,高齢者のほうがタクロリムス・抗体製剤の使用歴の割合が有意に低かった.UC入院例9例中7例で臨床症状の改善が認められたが,多くは寛解導入の治療としてステロイドが使用されていた.サイトメガロウイルスの再活性化が認められた症例は3例(33%)であったが,全例で抗ウイルス薬の投与が行われていた.手術例は2例(22%)のみであり内科治療でコントロールされている例も多かったが,重篤な感染症・糖尿病の悪化なども認められたことより,高齢者の炎症性腸疾患では治療効果判定をより早期に行うことが重要であると考えられた.

参考文献

1)三浦総一郎,高木俊介,本谷聡,他.難治性炎症性腸管障害に関する調査研究─高齢者炎症性腸疾患診療の現状把握 : 多施設へのアンケート調査の提案と前向き多施設共同研究の提案.平成22年度総括・分担者研究報告書,pp 154-155, 2011
2)Hussain SW, Pardi DS. Inflammatory bowel disease in the elderly. Drugs Aging 27 : 617-624, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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