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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻12号

2012年11月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

鋸歯状腺腫に合併しLSTの形態を呈した粘膜下層深部浸潤癌の1例

著者: 川崎啓祐1 小林広幸12 蔵原晃一1 大城由美3 八尾隆史4 米湊健1 古賀千晶1 船田摩央1 阿部光市1 大津健聖1 鷲尾恵万1 堺勇二1 渕上忠彦1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2福岡山王病院消化器内科 3松山赤十字病院病理 4順天堂大学医学部人体病理病態学

ページ範囲:P.1885 - P.1890

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要旨 患者は55歳,男性.近医で2次検診の内視鏡検査にて直腸病変を指摘され紹介となった.大腸内視鏡精査にて,直腸下部に65mm大の顆粒状を呈した平坦な隆起性病変を認め,中心部には10mm大の発赤調の結節を伴っていた.中心部のNBI拡大観察では異常血管やavascular areaが認められ,クリスタルバイオレット染色後の拡大観察では内腔狭小,辺縁不整,輪郭不明瞭なVi高度不整pitを呈していた.周囲の平坦な顆粒状の部位は一様にシダの葉状を呈していた.以上から鋸歯状腺腫に合併したSM深部浸潤癌と診断し腹腔鏡下超低位前方切除術を施行した.病理所見では中心の結節部でSM 6,000μmに浸潤した鋸歯状腺腫内癌であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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