icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻2号

2012年02月発行

文献概要

今月の主題 改訂された胃生検Group分類の現状 主題

胃生検“indefinite for neoplasia,Group 2”診断症例の臨床病理学的検討

著者: 海崎泰治1 細川治2 宮永太門3 浅海吉傑3 八木大介3 清水さつき3 道傳研司3 服部昌和3 橋爪泰夫3 青柳裕之4 伊部直之4

所属機関: 1福井県立病院臨床病理科 2横浜栄共済病院外科 3福井県立病院外科 4福井県立病院消化器内科

ページ範囲:P.187 - P.195

文献購入ページに移動
要旨 改訂された胃生検Group分類におけるGroup 2(indefinite for neoplasia)病変について,臨床病理学的に検討した.Group 2と診断した症例は83例(0.6%)であった.病変切除または十分な経過観察が行われたのは66例(79%)で,最終結果は癌が23例(28%),再生異型(非腫瘍)が40例(48%)であった.癌はすべて分化型癌のpT1a(M)で,大部分が低異型度癌であった.生検組織診時点で推定した疾患とは21%で異なっていた.Group 2となった原因は,癌症例では検体量が不十分なものが多く,再生異型症例ではびらん炎症により修飾されたものが多かった.病変の質的分類を採用した新Group 2分類は再生検を要する症例を的確に伝達できるが,その活用には病理医や臨床医へのさらなる浸透が必要と考えられた.

参考文献

1)加藤洋.胃生検Group分類の歴史と問題点─Vienna分類との関係も含めて.胃と腸 39 : 1443-1447, 2004
2)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,14版.金原出版,2010
3)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,13版.金原出版,1999
4)市川一仁,山岸秀嗣,冨田茂樹,他.胃癌,大腸癌Group分類の問題点.病理と臨 28 : 591-595, 2010
5)下田忠和,川口実,今村哲理,他.座談会 : 胃生検Group分類─私はこう考える.胃と腸 39 : 1510-1527, 2004
6)中村眞一,菅井有,加藤洋.胃生検組織診断分類(Group分類)の問題点─アンケート調査による検証.胃と腸 39 : 1449-1455, 2004
7)浜田勉,大谷吉秀,岩下明徳,他.胃生検Group分類の問題点─臨床医からみた問題点 : アンケート報告.胃と腸 39 : 1456-1461, 2004
8)岩下明徳,田邉寛.低異型度分化型胃癌の診断.胃と腸 45 : 1057-1060, 2010
9)大倉康男,中村恭一.低異型度管状腺癌の生検診断.胃と腸 45 : 1172-1181, 2010
10)八尾隆史,大屋正文,西山憲一,他.病理学的に胃癌と鑑別する必要がある炎症性病変.胃と腸 37 : 1715-1722, 2002
11)九嶋亮治.胃癌の生検診断─生検でわかること,わかるべきこと─.病理と臨 29 : 960-967, 2011
12)西倉健,味岡洋一,渡邉玄,他.低異型度分化型胃癌の病理学的特徴─肉眼像を含めて.胃と腸 45 : 1061-1072, 2010
13)菅井有,幅野渉,小西康弘,他.核異型度に基づいた腸型分化型胃粘膜内癌の分子病理学的解析─特に腸型低異型度胃癌における分子解析.胃と腸 45 : 1212-1225, 2010
14)海崎泰治,細川治,宮永太門,他.低異型度分化型胃癌の自然史.胃と腸 45 : 1182-1191, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?