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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻2号

2012年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

拡大内視鏡で深達度診断が困難であった隆起型早期大腸癌の1例

著者: 原田拓1 山野泰穂1 吉川健二郎1 木村友昭1 高木亮1 阿部太郎1 徳竹康二郎1 奥宮雅代1 中岡宙子1 鈴木亮1 佐藤健太郎1 菅井有2

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター 2岩手医科大学医学部病理学講座分子診断病理学分野

ページ範囲:P.256 - P.262

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要旨 患者は50歳代,男性.2010年6月に便潜血反応陽性の精査目的にて大腸内視鏡検査を施行,S状結腸に径12mm大の隆起性病変を認めた.通常観察にて緊満感を伴う病変で,拡大内視鏡観察ではVI型pitを認めたが全体に腺管構造は保たれていた.SM浸潤の可能性も否定できなかったが,粘膜内癌を最も疑いEMRを施行した.病理組織診断はwell differentiated adenocarcinoma,SM2(5,350μm),ly0,v0,腫瘍の大部分でSM深部浸潤を認めた.大腸癌の深達度診断は,隆起型早期大腸癌では表面構造を保ったままSM深部浸潤を来す病変もあり,慎重な診断と治療法の選択が望まれる.

参考文献

1)山野泰穂,吉川健二郎,木村友昭,他.早期大腸癌の精密画像診断─拡大内視鏡観察(pit pattern).胃と腸 45 : 822-828, 2010
2)斉藤裕輔,多田正大,工藤進英,他.通常内視鏡による大腸sm癌垂直浸潤距離1,000μmの診断精度と浸潤所見.大腸癌研究会「内視鏡摘除の適応」プロジェクト研究班結果報告.胃と腸 40 : 1855-1858, 2005
3)山野泰穂,工藤進英,今井靖,他.拡大内視鏡による早期大腸癌の深達度診断.胃と腸 36 : 759-768, 2001
4)特集 拡大内視鏡による深達度診断─V型pit patternを中心に.早期大腸癌5,2001
5)工藤進英,大森靖弘,樫田博史,他.大腸の新しいpit pattern分類─箱根合意に基づいたVi,Vn型pit pattern.早期大腸癌 9 : 135-140, 2005
6)木村友昭,山野泰穂,石郷岡晋也,他.大腸腫瘍性病変の診断─癌の深達度診断 通常内視鏡,拡大内視鏡,画像強調内視鏡の所見乖離時の対応 : 大腸癌SM浸潤度の判定─拡大内視鏡の立場から.Intestine 14 : 363-367, 2010
7)佐竹信哉,工藤進英,樫田博史,他.大腸sm癌における浸潤度の臨床診断精度─拡大内視鏡診断を中心に.胃と腸 39 : 1357-1362, 2004
8)唐原健,鶴田修,河野弘志,他.隆起型早期大腸癌の深達度診断.胃と腸 42 : 809-815, 2007
9)浦岡俊夫,斎藤豊,松田尚久,他.表面型早期大腸癌の深達度診断.胃と腸 42 : 817-822, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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