icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻2号

2012年02月発行

文献概要

海外だより

オックスフォード大学見聞録(2)

著者: 春間賢1

所属機関: 1川崎医科大学消化管内科

ページ範囲:P.288 - P.290

文献購入ページに移動
 1. JR病院での研修(続)

 IBDに関しては,患者数が多く,主に生物学的製剤や免疫抑制剤による治療を積極的に行っており,日本に比べ患者さんのQOLが極めてよいのには驚きました.私の滞在中は,IBD診療に従事しているのは,Travis先生,Keshav先生の2名が指導医で,その下に,スタッフとして3名,さらに海外から研修に来ている医師が4~5名,さらに,卒後研修医が2名,学生が2名の病棟と外来の診療にあたっていました.また,IBD専属の看護師さんが3名常駐し,患者さんと電話で定期的なやり取りを行い状態の把握,受診日の決定,検査時期,治療内容の変更などを行っており,その後,医師とのディスカッションがあり,最終方針が決まります.主に医師だけで医療を進めなければならない日本のシステムと,随分と違っておりました.また,常に,新しい,効果的な治療法を求め,新薬の臨床試験に積極的に取り組んでおり,試験の対象患者,治療内容の説明,採血,検査の手配なども,もう1名のクリニカルコーディネーターの方と一緒に進めてくれ,随分と医師の仕事は軽減されています.ステロイド剤については,日本は長期に使いすぎるとの意見で,生物学的製剤と免疫抑制剤が中心であり,一方では,人工肛門の造設率の高いのには驚きました.排便のコントロールが一番QOLを高め,先に人工肛門を作っておくと病気のコントロールができやすいとの考え方のようです.外来でみた限りでは,疾患のコントロールがよいためか,人工肛門造設のためか,特にCrohn病の肛門病変が日本と比べ少ない印象を受けました.

 日本と同じく,週に1回のTravis先生の病棟回診があり(水曜日午前中,Fig. 3),研修医である主治医,指導医,看護師長,栄養師,薬剤師,事務の方が集まり,入院患者の症例提示,治療経過などをプレゼン後に,回診となります.もちろん長期入院となる患者さんもおられますが,基本的に入院は5~6日で,これを超えて長くなると,なぜ入院が長いのか討論されます.入院期間が短いので,急性期を除き栄養療法は行わず,栄養師の方に,食事制限はないのかと聞きますと,nothingとの答えが返ってきました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら