文献詳細
今月の主題 咽頭・頸部食道癌の鑑別診断
序説
文献概要
はじめに
食道癌の早期発見が進み,その大部分を占める扁平上皮癌の上皮内癌・粘膜癌の形態と病態が明らかになった.この結果,多くの食道粘膜癌が内視鏡治療で根治可能となり,食道癌の治療において食道機能の温存と長期生存が両立することになった.咽頭癌は頭頸部癌の一部を構成するが,その頻度は,食道癌に比べて低い.しかし食道癌と頭頸部癌,なかでも咽頭癌は,密接な関係を有しており,同時性あるいは異時性に合併する頻度が高いことは周知の事実である.このため,早期食道癌の治療計画時だけでなく,内視鏡治療後の経過追跡にも咽頭癌を早期に発見し,治療することが不可欠な要件となった1).また,喉頭癌は50歳以上の男性に多く,しかも増加傾向が明らかな疾患である.既にそして急速に高齢化の進むわが国では,今後,咽頭癌の早期発見が重要性を増すことは間違いない2).上部消化管の内視鏡検査の高機能化,デジタル化により実現した画像強調観察法・拡大観察法により咽頭癌の早期発見は確実に容易になった3).同時に,この領域特有の難しさも存在する.これまでの成果を整理して,残された課題を明らかにすることに大きな意義がある.
食道癌の早期発見が進み,その大部分を占める扁平上皮癌の上皮内癌・粘膜癌の形態と病態が明らかになった.この結果,多くの食道粘膜癌が内視鏡治療で根治可能となり,食道癌の治療において食道機能の温存と長期生存が両立することになった.咽頭癌は頭頸部癌の一部を構成するが,その頻度は,食道癌に比べて低い.しかし食道癌と頭頸部癌,なかでも咽頭癌は,密接な関係を有しており,同時性あるいは異時性に合併する頻度が高いことは周知の事実である.このため,早期食道癌の治療計画時だけでなく,内視鏡治療後の経過追跡にも咽頭癌を早期に発見し,治療することが不可欠な要件となった1).また,喉頭癌は50歳以上の男性に多く,しかも増加傾向が明らかな疾患である.既にそして急速に高齢化の進むわが国では,今後,咽頭癌の早期発見が重要性を増すことは間違いない2).上部消化管の内視鏡検査の高機能化,デジタル化により実現した画像強調観察法・拡大観察法により咽頭癌の早期発見は確実に容易になった3).同時に,この領域特有の難しさも存在する.これまでの成果を整理して,残された課題を明らかにすることに大きな意義がある.
参考文献
1)石原立,飯石浩康,上堂文也,他.食道m1・m2癌EMR後の長期成績.胃と腸 42 : 1309-1315, 2007
2)吉野邦俊.中・下咽頭癌の疫学・臨床統計.胃と腸 40 : 1229-1238, 2005
3)武藤学,樫田親利,高橋真理,他.表在性の中・下咽頭癌の拡大内視鏡診断─NBIも含めて.胃と腸 40 : 1255-1269, 2005
4)横山顕,大森泰,横山徹爾,他.大酒家における食道表在癌内視鏡切除後の2次癌─癌のない大酒家の長期経過との比較.胃と腸 42 : 1365-1374, 2007
5)森朱夏,横山顕,松井敏史,他.アルコール依存症者の咽頭展開法とヨード染色法を用いた内視鏡による頭頸部・食道癌検診.Gastroenterol Endosc 53 : 1426-1434, 2011
6)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,10版補訂版.金原出版,2008
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