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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻3号

2012年03月発行

文献概要

今月の主題 咽頭・頸部食道癌の鑑別診断 主題

頸部食道表在癌の特徴と鑑別診断―NBI内視鏡を含めて

著者: 藤原純子1 門馬久美子1 立石陽子2 木村麻衣子3 渡海義隆3 剛崎有加3 鈴木友宣4 三浦昭順4 加藤剛4 出江洋介4 比島恒和2 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院病理科 3がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 4がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 5財団法人早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.360 - P.372

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要旨 2007~2010年に経験した頸部食道表在癌16例(男性15例,女性1例)を対象に,検討を行った.内視鏡検査は,スコープ挿入時は白色光を主体に,抜去時はNBI観察で行った.他院発見例を含め,通常観察発見:12例(75%),NBI発見:4例(25%)であった.同時性多発食道癌:5例(31%),異時性食道癌5例(31%)であり,他臓器重複癌の既往を11例(69.0%)に認めた.2例に化学放射線療法,14例にEMR/ESDを行い,EMR/ESD施行14例で詳細な検討を行った.病型は,0-IIa型:5病変(36%),0-IIb型:1病変(7%),0-IIc型:7病変(50%),0-I型:1病変(7%)であった.深達度は,T1a-EP:6病変(43%),T1a-LPM:3病変(22%),T1a-MM:2病変(14%),SM2:3病変(21%)であり,SM2の2病変は脈管侵襲陽性であった.頸部食道表在癌を効率よく拾い上げるには,食道癌のハイリスク群を中心に,鎮静剤使用や,NBI併用,透明フード装着などの工夫を行い,注意深く観察することが必要である.また,狭い頸部食道では,壁伸展による病変の形態変化の評価が困難なため,拡大観察やEUSを用いた深達度の評価が有効である.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2007
2)Inoue H, Honda T, Nagai K, et al. Ultra-high magnification endoscopic observation of carcinoma in situ of the esophagus. Dig Endosc 9 : 16-18, 1997
3)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.多発食道癌と粘膜切除.胃と腸 36 : 1039-1047, 2001
4)丸山哲郎,上里昌也,中世古知昭,他.骨髄移植後食道癌の3例.日臨外会誌 71, 2582-2587, 2010
5)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.拡大内視鏡による分類─食道 : 微細血管分類.胃と腸 42 : 589-595, 2007
6)三梨桂子,土井俊彦,武藤学,他.治療成績からみた食道m3・sm癌の治療方針─化学放射線療法(CRT)の治療成績.胃と腸 41 : 1467-1474, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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