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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻3号

2012年03月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

急性腹症で発症したcollagenous colitisの1例

著者: 來住優輝1 藤本剛英1 永岡真1 橋本高芳1 横野智信1 山田英二2 九嶋亮治3 小山茂樹4

所属機関: 1彦根市立病院内科 2彦根市立病院病理診断科 3独立行政法人国立がん研究センター中央病院病理科 4社会医療法人誠光会草津総合病院

ページ範囲:P.413 - P.418

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要旨 患者は62歳,女性.胃食道逆流症のためランソプラゾールを内服していた.突然の左下腹部痛,水様下痢と血便がみられたため受診した.腹部造影CTで横行結腸に粘膜下層を主体とした浮腫による著しい壁肥厚と深い裂創を認め,少量のガス像が腸間膜内にもみられた.内視鏡検査では中部横行結腸から脾彎曲部にかけて一条の深い縦走潰瘍が認められた.保存的治療で改善したが,11日後に同様の症状で受診した.2回目の内視鏡検査では横行結腸の縦走潰瘍は治癒していたが,S状結腸に新たな縦走潰瘍が認められ,生検の結果collagenous colitisと診断された.急性腹症を契機に診断されたcollagenous colitisは極めてまれである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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