icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻3号

2012年03月発行

文献概要

胃と腸 図譜

大腸Phlebosclerosis―〔特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)〕

著者: 大津健聖1 松井敏幸1 平井郁仁1 金光高雄2 池田圭祐2 岩下明徳2 西村拓3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科 2福岡大学筑紫病院病理部 3西村クリニック

ページ範囲:P.426 - P.429

文献購入ページに移動
1 概念,病態

 特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis ; IMP)は1991年小山ら1)により静脈硬化症による虚血性病変として報告され,その後1993年に岩下らが新しい疾患概念として提唱した.2000年にYaoら2)は静脈硬化性大腸炎と命名し,2003年にIwashitaら3)により,病理学的に炎症所見が認められないことから特発性腸間膜静脈硬化症(IMP)との呼称が提案されている.

 基本的な病態として腸間膜静脈の石灰化に伴う腸管循環不全による虚血と考えられるが,成因として肝疾患,血管炎,糖尿病などの関与が考えられる.また,Chang4)は,漢方薬長期内服も原因の1つと報告している.国内外の文献を1991~2010年まで検索した症例106例の集計(Table 1)では,82例(77%)の症例に腹痛・下痢・嘔気などの自覚症状を認め,やや女性に多く認められる.報告例はすべて本邦を含むアジア人であり,アジア人特有の疾患である可能性も考えられる.

参考文献

1)小山登,小山洋,花島得三,他.慢性的経過を呈した右側狭窄型虚血性大腸炎の1例.胃と腸 26 : 455-460, 1991
2)Yao T, Iwashita A, Hoashi T, et al. Phlebosclerotic colitis : value of radiography in diagnosis─report of three cases . Radiology 214 : 188-192, 2000
3)Iwashita A, Yao T, Schlemper RJ, et al. Mesenteric phlebosclerosis : a new disease entity causing ischemic colitis. Dis Colon Rectum 46 : 209-220, 2003
4)Chang KM. New histologic findings in idiopathic mesenteric phlebosclerosis : clues to its pathogenesis and etiology─probably ingested toxic agent related. J Chin Med Assoc 70 227-235, 2007
5)西村拓,松井敏幸,平井郁仁,他.Idiopathic mesenteric phlebosclerosis(特発性腸間膜静脈硬化症)の経過.胃と腸 44 : 191-205, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?