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今月の主題 消化管EUS診断の現状と新たな展開 主題
消化管EUS診断能のさらなる向上を目指して―私はこうしている─ひだ上に存在する大腸病変描出のコツ
著者: 河野弘志1 鶴田修12 前山泰彦1 野田哲裕1 長田修一郎1 有田桂子1 長谷川申1 中原慶太1 光山慶一1 安元真希子3 秋葉純3 佐田通夫1
所属機関: 1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門 2久留米大学病院消化器病センター内視鏡診療部門 3久留米大学医学部病理学講座
ページ範囲:P.559 - P.561
文献購入ページに移動大腸癌,特に早期大腸癌の治療方針を決定するうえで深達度診断は重要である.その手法として従来の通常内視鏡観察に加え,色素内視鏡観察,pit patternを主とした拡大内視鏡観察,微細血管構築・微細表面構造を観察する狭帯域光観察(narrow band imaging ; NBI)や自家蛍光の色調差を応用した自家蛍光内視鏡(autofluorescence imaging ; AFI)などの画像強調観察,超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography ; EUS)などの内視鏡を用いた検査手法と逆行性注腸造影検査や3D-CTなどのX線を用いた検査が行われている.
EUSはそれ以外の内視鏡観察方法と異なり,病変の断層像を直接観察することが可能な唯一の検査方法である.しかし,その深達度診断成績は,それ以外の内視鏡観察による成績と比較して必ずしも良好ではない1)2).その理由として,大腸が屈曲した管腔臓器であること,腸管の長軸方向と垂直に走行するひだが存在することなど,大腸特有の解剖学的構造が関与していると思われる.そのなかで上行結腸や直腸においてはひだが強固であり,ひだ上や腸管屈曲部に存在する病変の診断は困難である.小林ら3)はEUSを用いて病変の描出が困難であった病変の約40%が腫瘍の存在部位に起因すると報告している.
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