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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻4号

2012年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

特異な肉眼型を呈し,通常内視鏡と拡大内視鏡による深達度診断が乖離した早期大腸癌の1例

著者: 相原弘之1 斎藤彰一1 大谷友彦1 鈴木武志1 加藤智弘1 田尻久雄12 池上雅博3

所属機関: 1東京慈恵会医科大学内視鏡科 2東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科 3東京慈恵会医科大学病院病理部

ページ範囲:P.579 - P.585

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要旨 患者は61歳,男性.大腸内視鏡でS状結腸~下行結腸移行部に有茎性病変を指摘された.通常内視鏡では茎の基部から強い発赤調を呈し,頂部には陥凹面が存在したが,拡大NBIおよびピオクタニン染色拡大内視鏡ではSM浸潤を示唆する所見が得られなかった.診断的に施行した内視鏡切除の結果,最終病理診断は3,300μmのSM浸潤および静脈侵襲を有し,一部に低分化成分を伴う高分化型早期大腸癌であった.本症例は粘膜内病変が脱落した有茎性のSM浸潤癌と考えられるが,通常内視鏡診断と拡大内視鏡診断とが乖離した.早期大腸癌の診断において拡大内視鏡所見は重要なファクターの1つではあるが,本症例のように通常観察所見と乖離がある場合は,拡大内視鏡所見のみに頼らず総合的に質的診断,深達度診断を判断する必要があり,しいては治療方針を決定する場合にもSM深部浸潤癌にも対応できるような慎重な姿勢が必要であると考えられた.

参考文献

1)Matsuda T, Fujii T, Saito Y, et al. Efficacy of the invasive/non-invasive pattern by magnifying chromoendoscopy to estimate the depth of invasion of early colorectal neoplasms. Am J Gastroenterol 103 : 2700-2706, 2008
2)Kanao H, Tanaka S, Oka S, et al. Narrow-band imaging magnification predicts the histology and invasion depth of colorectal tumors. Gastrointest Endosc 69 : 631-636, 2009
3)Wada Y, Kudo SE, Kashida H, et al. Diagnosis of colorectal lesions with the magnifying narrow-band imaging system. Gastrointest Endosc 70 : 522-531, 2009
4)Muto T, Bussey HJR, Morson BC. Pseudo-carcinomatous invasion in adenomatous polyps of the colon and rectum. J Clin Path 26 : 25-31, 1973

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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