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特集 図説 胃と腸用語集2012 解剖
食道の解剖用語
著者: 高木靖寛1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科
ページ範囲:P.619 - P.621
文献購入ページに移動 食道の解剖学的区分(Fig. 1) 食道とは食道入口部から食道胃接合部までをいい,食道入口部は輪状軟骨の下縁レベルに一致する.食道の区分はまず3つに大別される.すなわち入口部より胸骨上縁までを頸部食道(cervical esophagus;Ce),胸骨上縁から食道裂孔上縁までを胸部食道(thoracic esophagus;Te),食道裂孔上縁から食道胃接合部までを腹部食道(abdominal esophagus;Ae)と呼ぶ.胸部食道はさらに3つに亜分類され,気管分岐部下縁までを胸部上部食道(upper thoracic esophagus;Ut),気管分岐部下縁から食道胃接合部までを2等分した上半分を胸部中部食道(middle thoracic esophagus;Mt),2等分した下半分を胸部下部食道(lower thoracic esophagus;Lt)と区分されている.
食道の走行と周囲の構造(Fig. 2) 食道は咽頭に続く約25cmの管状,筋性の臓器で,食物の通路であり咽頭から胃に連絡する.輪状軟骨の下縁,第6胸椎レベル(切歯より約15cm)の高さからはじまり,横隔膜の食道裂孔を通って,第11もしくは第12胸椎のレベルで胃噴門(切歯より約40cm)に連なる.食道の両端は括約筋また括約機構によって周囲組織に固定され,食塊が通過するときのみ開口するが,通常は閉鎖している.食道の大部分は周囲臓器との間を粗な結合織で取り囲まれているのみであり,呼吸や嚥下,腹圧,体動で長軸方向に約1椎体程度の移動が生じる.食道はほぼ正中を走行するが,正確には蛇行している.頸部では正中かやや左側にあるが,大動脈弓(第4胸椎)までは次第に左側に偏位し,それから右側に向かい第7胸椎の高さでは,脊柱のやや右側に存在する.その後再び左側に向かい,食道裂孔を通過して第10胸椎のレベルで正中より左側に偏位し,食道胃接合部で最も偏位が著しくなる.
食道の走行と周囲の構造(Fig. 2) 食道は咽頭に続く約25cmの管状,筋性の臓器で,食物の通路であり咽頭から胃に連絡する.輪状軟骨の下縁,第6胸椎レベル(切歯より約15cm)の高さからはじまり,横隔膜の食道裂孔を通って,第11もしくは第12胸椎のレベルで胃噴門(切歯より約40cm)に連なる.食道の両端は括約筋また括約機構によって周囲組織に固定され,食塊が通過するときのみ開口するが,通常は閉鎖している.食道の大部分は周囲臓器との間を粗な結合織で取り囲まれているのみであり,呼吸や嚥下,腹圧,体動で長軸方向に約1椎体程度の移動が生じる.食道はほぼ正中を走行するが,正確には蛇行している.頸部では正中かやや左側にあるが,大動脈弓(第4胸椎)までは次第に左側に偏位し,それから右側に向かい第7胸椎の高さでは,脊柱のやや右側に存在する.その後再び左側に向かい,食道裂孔を通過して第10胸椎のレベルで正中より左側に偏位し,食道胃接合部で最も偏位が著しくなる.
参考文献
1)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2007
2)吉野邦英.食道の解剖.遠藤光夫,河野辰幸,永井鑑(編).食道癌の外科治療マニュアル.へるす出版.pp 1-6,2000
3)吉田操.食道の解剖用語.牛尾恭輔,池田靖洋,下田忠和,他(編).胃と腸用語辞典.医学書院.pp 1-3,2002
4)本多啓介,楠裕明,畠二郎,他.口腔,咽頭,喉頭,食道の解剖と機能.シミュレイション内科 上部消化管疾患を探る.永井書店.pp 3-6,2004
5)石黒信吾.食道 I正常構造と一般事項─A正常構造.向井清,真鍋俊明,深山正之(編).外科病理学,4版.文光堂,pp 397-398,2006
6)田久保海誉.食道の構造.食道の病理,2版.総合医学社,pp 7-39,1996
7)Takubo K, Aida J, Sawabe M, et al. The normal anatomy around the oesophagogastric junction : a histopathologic view and its correlation with endoscopy. Best Pract Res Clin Gastroenterol 22 : 569-583, 2008
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