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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 解剖

胃の解剖用語

著者: 細川治1 柳本邦雄2

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院 2国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院病理診断科

ページ範囲:P.622 - P.624

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 胃は食道に続き,十二指腸に連なる管腔面積が最も大きな消化管臓器である.食道との粘膜境界は内視鏡画像上,食道下部柵状血管の下端,または胃大彎の縦走ひだの口側終末部とされ,X線検査上は後者の区分を用いる以外にHIS角を水平に延長した線ともされる.さらに筋層段階での境界としては,胃の入口部,食道の左側にまたがるように位置する最も内側の筋束,sling fiberがあてられる.粘膜段階と筋層段階の境界がずれることはもちろん,内視鏡とX線で境界が一致しないこともしばしば経験される.十二指腸球部との境界は幽門輪である.

 胃の上部は肋骨弓下にあり,食道胃接合は第11胸椎左辺,幽門輪は第1腰椎右辺,両部位前後で後腹膜に固定されるが,中間部は固着しておらず,横行結腸と肝左葉に覆われない範囲では前腹壁に接している.長軸方向の長さは小彎で15cm,大彎で45cm程度であり,最も管腔の広い個所の径は12cmとされる.屍体胃を用いた計測では1l以上の容量が報告されるが,有管法検査で胃透視を行っている立場からすると,バリウム100mlと空気300mlの注入で大半の胃が緊満することから生体内にある状態では500ml程度の容量と推定される.

参考文献

1)日本消化器内視鏡学会用語委員会(編).消化器内視鏡用語集,3版.医学書院,pp 4-7,2011
2)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,14版.金原出版,p 6,2010
3)八木一芳,佐藤聡史,中村厚夫,他.Helicobacter pylori感染の進展と胃粘膜NBI拡大観察.胃と腸 44 : 1446-1455, 2009
4)滝澤登一郎.胃の病理形態学.医学書院,pp 10-18,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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