文献詳細
文献概要
特集 図説 胃と腸用語集2012 検査法・手技
注腸X線造影(barium enema)
著者: 斉藤裕輔1 垂石正樹1
所属機関: 1市立旭川病院消化器病センター
ページ範囲:P.642 - P.644
文献購入ページに移動 注腸X線造影検査の歴史 1904年,Schuleにより,それまでの経口投与による大腸造影法から注腸法が開始されたが,当時は充満像やレリーフ像が主体であった.1923年にFischerが二重造影法を報告しているが,当時は二重造影像の得られる範囲は限られていた.1955年にスウェーデンのWelinは高濃度バリウムを脾彎曲部まで注入し,一度バリウムを排泄させ,次にS状結腸中部までバリウムを再注入後空気を注入,体位変換で盲腸までバリウムを移動させ広範囲の二重造影に成功した.1961年,Brownはそれまでの洗腸による前処置から,塩類下剤を使用した洗腸を行わない前処置法を開発し,二重造影に必要な最小限の造影剤を注入後に空気を注入する現在の方法が確立された.
本邦では白壁らにより開発された上部消化管の二重造影法が,1969年頃から注腸X線検査へと導入され,刈谷,西澤,吉川らの業績により二重造影法が広く普及した.また,その後の造影剤の改良,適正濃度の研究の結果,それまで20%程度であったfine network patternの描出率は約70%へと向上した.これら先人達の努力により,微細・微小病変の描出・鑑別診断が可能となり,潰瘍性大腸炎,腸結核,Crohn病,虚血性腸炎など炎症性腸疾患における病変の推移や治療効果の判定が可能となった.
本邦では白壁らにより開発された上部消化管の二重造影法が,1969年頃から注腸X線検査へと導入され,刈谷,西澤,吉川らの業績により二重造影法が広く普及した.また,その後の造影剤の改良,適正濃度の研究の結果,それまで20%程度であったfine network patternの描出率は約70%へと向上した.これら先人達の努力により,微細・微小病変の描出・鑑別診断が可能となり,潰瘍性大腸炎,腸結核,Crohn病,虚血性腸炎など炎症性腸疾患における病変の推移や治療効果の判定が可能となった.
参考文献
1)「胃と腸」編集委員会(編).胃と腸ハンドブック.医学書院,pp 20-27,1992
2)斉藤裕輔,富永素矢,垂石正樹,他.早期大腸癌の精密画像診断─注腸X線診断.胃と腸 45 : 784-799, 2010
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