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特集 図説 胃と腸用語集2012 検査法・手技
酢酸インジゴカルミン混合液撒布(acetic acid-indigo carmine mixture;AIM)
著者: 河原祥朗1
所属機関: 1岡山大学病院光学医療診療部
ページ範囲:P.653 - P.653
文献購入ページに移動 消化器内視鏡における酢酸撒布法は主にBarrett食道の診断に有用性が報告されてきた.胃癌に関しても拡大内視鏡を併用することで,境界診断に応用できることや,色調変化の反応時間などによって腫瘍の質的診断に応用できることなどが報告されてきた.筆者は,従来の色素内視鏡による形態のコントラストの強調効果に加えて,酢酸を加えることで色調変化の上乗せ効果が得られるのではないかと考え,酢酸インジゴカルミン混合液(acetic acid-indigo carmine mixture;AIM)を考案した1)~3).
酢酸を胃に撒布すると,酸に対する胃粘膜の防御反応によると思われる粘液が増加する.酸による粘液の産生性が腫瘍部,非腫瘍部で異なるため,腫瘍部ではインジゴカルミンの色素がwash outされることが多い反面,非腫瘍部では色素がしっかりと残存する.このメカニズムにより,従来の色素でははっきりしなかった病変の境界部が明瞭に描出され,境界診断に非常に有用である.特に従来のインジゴカルミンによる範囲診断では描出の難しかった隆起病変の周辺に拡がるIIb(Fig. 1),陥凹病変の周囲に拡がるIIbなどが明瞭に観察可能であり,ESD(endoscopic submucosal dissection)時に使用することで断端陽性例を減少させることが可能である.
酢酸を胃に撒布すると,酸に対する胃粘膜の防御反応によると思われる粘液が増加する.酸による粘液の産生性が腫瘍部,非腫瘍部で異なるため,腫瘍部ではインジゴカルミンの色素がwash outされることが多い反面,非腫瘍部では色素がしっかりと残存する.このメカニズムにより,従来の色素でははっきりしなかった病変の境界部が明瞭に描出され,境界診断に非常に有用である.特に従来のインジゴカルミンによる範囲診断では描出の難しかった隆起病変の周辺に拡がるIIb(Fig. 1),陥凹病変の周囲に拡がるIIbなどが明瞭に観察可能であり,ESD(endoscopic submucosal dissection)時に使用することで断端陽性例を減少させることが可能である.
参考文献
1)Kawahara Y, Takenaka R, Okada H, et al. Novel chromoendoscopic method using an acetic acid-indigocarmine mixture for diagnostic accuracy in delineating the margin of early gastric cancers. Dig Endosc 21 : 14-19, 2009
2)河原祥朗,川野誠司,井上雅文,他.内視鏡による早期胃癌のIIb進展範囲診断─AIM法を用いた色素内視鏡診断法を中心に.胃と腸 45 : 50-58, 2010
3)河原祥朗.胃腫瘍に対するAIM(aceticacid-indigocarmine mixture)の有用性.丹波寛文(監),田尻久雄,田中信治,他(編).画像強調観察による内視鏡診断アトラス.日本メディカルセンター,pp 155-156,2010
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