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特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔食道〕
brownish area,metallic silver sign
著者: 井上晴洋1 南ひとみ2
所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター 2長崎大学病院消化器内科
ページ範囲:P.678 - P.678
文献購入ページに移動metallic silver signは,ヨード染色におけるピンクカラーサイン(Shimizuら)2)のNBI観察における所見である.ピンクカラーサインは扁平上皮癌に特異的な所見であるが,NBIで観察するとよりコントラスト高く観察することができる.metallic silver signが最も役立つのは,まだら食道における癌病巣の拾い上げにおいてである3).アルコール多飲の患者では,粘膜癌の拾い上げに際してNBI観察を行っても,明瞭なbrownish areaが観察されないこと,あるいは不規則,あいまいに広範囲に出現することも多い.そのような病変では,まずは従来から行われているヨード染色を行うと多数の不染帯(このような不明瞭な不染帯を淡染と呼ぶことも多い)が描出される4)5).それらは,ほとんどが低度,高度の上皮内腫瘍に一致する.このヨード不染帯のなかにピンクカラーサインを認めると,粘膜癌を疑う.このピンクカラーサインを高コントラストで強調させる方法が,metallic silver signである(Fig. 2).臨床上の意義はピンクカラーサインと全く同様であるが,その視認性が著しく向上する.metallic silver signは,扁平上皮癌が上皮表面に露出した場合に観察される.血管外(組織内)のヘモグロビンの色調であろうとの研究が進んでいる.
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