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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔食道〕

食道裂孔ヘルニア(hiatal hernia)

著者: 眞部紀明1 春間賢2

所属機関: 1川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波) 2川崎医科大学消化管内科

ページ範囲:P.681 - P.682

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 食道裂孔ヘルニアは,生理的に存在する食道裂孔をヘルニア門とし,腹膜,食道横隔膜靭帯,胸膜をヘルニア囊とし,胃の一部をヘルニア内容物とする内ヘルニアの一種である.食道裂孔ヘルニアは横隔膜ヘルニアの中で最も頻度が高く,本邦では平嶋1)がX線造影にて滑脱型(sliding type),傍食道型(paraesophageal type),混合型(mixed type)に分類し,現在この分類が広く用いられている(Fig. 1).

 診断はX線造影のほか,内視鏡,食道内圧測定により決定されるが,可逆性の症例もあり,またどの程度から食道裂孔ヘルニアとするかの基準がないことが問題である.最近は内視鏡検査で食道裂孔ヘルニアを診断する場合が多いが,その分類には幕内2)の分類が有用である(Fig. 2).同分類法は,上記の問題点を踏まえたうえで,確診(definite)と疑診(minor)と大まかな分類を行っている.また,Hillら3)が提唱している内視鏡反転観察時のflap valveの評価も下部食道括約部機能の判定に有用であり,逆流性食道炎の内視鏡的重症度との間に相関が認められると報告されているが,食道裂孔ヘルニアの直接的な分類法ではない点に注意が必要である.

参考文献

1)平嶋毅.食道の良性疾患.南江堂,pp 197-235,1981
2)幕内博康.滑脱型食道裂孔ヘルニアの臨床的研究─診断基準と程度分類を中心に.日消誌 79 : 1557-1567, 1982
3)Hill LD, Kozarek RA, Kraemer SJ, et al. The gastroesophageal flap valve : in vitro and in vivo observation. Gastrointest Endosc 44 : 541-547, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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