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特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔腸〕
白色絨毛(white villi)
著者: 青柳邦彦1
所属機関: 1福岡大学病院消化器内科
ページ範囲:P.703 - P.703
文献購入ページに移動 内視鏡観察時,十二指腸あるいは小腸にびまん性あるいは皺襞主体の淡い白色調粘膜を示すものを白色絨毛(white villi,Fig. 1),撒布性に小さく明瞭な白点を示すもの撒布性白点(scattered white spots,Fig. 2)と呼んでいる1)2).いずれの白色調変化も,腸に吸収された食事性脂肪の転送障害を反映している2).白色絨毛では,吸収された脂肪の絨毛粘膜におけるリンパ管(中心乳糜管)への吸収転送障害が原因となっている.撒布性白点では,絨毛の中心乳糜管から中枢側への転送障害あるいは遅延が原因となり,中心乳糜管が拡張し白点を示す.腸の中心乳糜管には弁がないため,腸リンパ管拡張症では中枢側リンパ管の狭窄により末梢側リンパ流障害とリンパ管拡張が生じ,白色絨毛や撒布性白点を認める.
白色絨毛と撒布性白点は必ずしも病的所見ではなく,健常者でも観察されることがある(Fig. 3)3).食事性脂肪摂取量が多い場合や胃運動能が低下している場合には,脂肪の吸収・転送が遅延する結果みられる.また,脂肪摂取から内視鏡検査までの時間が短い場合にも観察される4).一方,腸リンパ管拡張症では食事内容や時間とは関係なく認められる所見である.
白色絨毛と撒布性白点は必ずしも病的所見ではなく,健常者でも観察されることがある(Fig. 3)3).食事性脂肪摂取量が多い場合や胃運動能が低下している場合には,脂肪の吸収・転送が遅延する結果みられる.また,脂肪摂取から内視鏡検査までの時間が短い場合にも観察される4).一方,腸リンパ管拡張症では食事内容や時間とは関係なく認められる所見である.
参考文献
1)Aoyagi K, Iida M, Yao T, et al. Characteristic endoscopic features of intestinal lymphangiectasia : correlation with histological findings. Hepatogastroenterology 44 : 133-138, 1997
2)Asakura H, Miura S, Morishita T, et al. Endoscopic and histopathological study on primary and secondary intestinal lymphangiectasia. Dig Dis Sci 26 : 312-320, 1981
3)八尾建史.正常十二指腸粘膜.武藤学,八尾建史,佐野寧(編).NBI内視鏡アトラス.南江堂,pp 122-123,2011
4)Femppel J, Lux G, Kaduk B, et al. Functional lymphangiectasia of the duodenal mucosa. Endoscopy 10 : 44-46, 1978
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