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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔腸〕

緊満感(expanding appearance)

著者: 河野弘志1 鶴田修1

所属機関: 1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門

ページ範囲:P.706 - P.706

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 大腸癌の治療方針を決定するうえで重要な,SM高度浸潤癌を疑う通常内視鏡所見の指標として,「大腸癌治療ガイドライン医師用,2010年版」には“緊満感,びらん,潰瘍,ひだ集中,変形・硬化像”が記載されている1).本稿ではその中で,緊満感を呈する病変の病理学的所見,内視鏡診断におけるその所見の意義,実用性について述べる.

 緊満感とは 緊満感とは通常内視鏡観察において病変全体またはその一部において,表面が平滑で光沢を有し,膨張性に発育している印象を受ける肉眼所見のことである.この所見はインジゴカルミン撒布を行うと,病変表面の模様が詳細に観察され(Fig. 1),光沢も感じなくなるため,通常観察で評価することが望ましい.また,腸管の伸展具合が不十分な状態では粘膜厚が厚くなり,癌がSM高度に浸潤していてもその存在が隠れてしまう可能性がある.そのため,緊満感は腸管を十分に伸展したうえで判定する必要がある.

参考文献

1)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン医師用,2010年度版.金原出版,2010
2)味岡洋一.大腸sm癌深達度診断の現状─前向き検討 ; 集計結果の解析と病理組織学的考察.胃と腸 41 : 1250-1256, 2006
3)河野弘志,鶴田修,長谷川申,他.早期大腸癌の精密画像診断─通常内視鏡による診断.胃と腸 45 : 801-809, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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