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特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔腸〕
白斑(white spots)
著者: 山野泰穂1
所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター
ページ範囲:P.708 - P.708
文献購入ページに移動 白斑は白点輪とも言われ,大腸腫瘍の周囲正常粘膜に認められる白色点状の所見である(Fig. 1, 2).その部分の病理所見としてはfoamy cellの集合とされ,SM癌の指標であると報告された経緯があった1)2).
しかしその後の検討で,SM癌以外にも認められるとの報告もあり,実臨床的には腺腫性病変においてもしばしば経験する所見である.工藤3)は大腸上皮性腫瘍4,363病変における白斑の出現に関する検討で,腺腫2.5%,早期癌13.2%,進行癌61.8%としており,癌の進行度により頻度が高くなるとしている.また井上ら4)も同様な報告をしており,腺腫であっても高異型度腺腫のほうが,出現頻度が高い傾向があることを指摘している.加えて,肉眼形態別では隆起型により高く,腫瘍径が大きいほどより高い傾向を示すとした.一方,工藤らはLST(laterally spreading tumor)では腺腫,早期癌とも同等の白斑の出現率であったと報告しているが,LSTではある程度腫瘍径が大きい病変も含まれており,LST顆粒型と非顆粒型でも異なることが示唆される.以上のように白斑の出現に関してある程度の傾向があることが示されているが,決して癌に特異的な所見ではないことも理解する必要がある.
しかしその後の検討で,SM癌以外にも認められるとの報告もあり,実臨床的には腺腫性病変においてもしばしば経験する所見である.工藤3)は大腸上皮性腫瘍4,363病変における白斑の出現に関する検討で,腺腫2.5%,早期癌13.2%,進行癌61.8%としており,癌の進行度により頻度が高くなるとしている.また井上ら4)も同様な報告をしており,腺腫であっても高異型度腺腫のほうが,出現頻度が高い傾向があることを指摘している.加えて,肉眼形態別では隆起型により高く,腫瘍径が大きいほどより高い傾向を示すとした.一方,工藤らはLST(laterally spreading tumor)では腺腫,早期癌とも同等の白斑の出現率であったと報告しているが,LSTではある程度腫瘍径が大きい病変も含まれており,LST顆粒型と非顆粒型でも異なることが示唆される.以上のように白斑の出現に関してある程度の傾向があることが示されているが,決して癌に特異的な所見ではないことも理解する必要がある.
参考文献
1)武藤徹一郎,上谷潤二郎,沢田俊夫,他.大腸ポリープ周囲粘膜に認められる白斑の臨床病理学的研究─とくに早期癌との関連性について─.Gastroenterol Endosc 23 : 241-247, 1981
2)長廻紘.白斑.内視鏡的大腸病学.医学書院,pp 77-78,1999
3)工藤進英.サイドメモ─白斑.早期大腸癌─平坦・陥凹型へのアプローチ.医学書院,p 31,1993
4)井上秀幸,内田善仁,西岡幹夫,他.白斑と大腸腫瘍.消化管の臨 5 : 29-33, 1999
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