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特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔腸〕
cobblestone appearance
著者: 平井郁仁1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科
ページ範囲:P.711 - P.711
文献購入ページに移動 cobblestone appearanceは,敷石像,敷石様外観とも呼ばれ,Crohn病(Crohn's disease;CD)に特徴的な形態所見である.本邦におけるCDの診断基準では,縦走潰瘍とともに主要項目の1つとして挙げられている1).他の疾患が除外できればcobblestone appearanceの存在のみでCDと確定診断することが可能である.したがって,画像所見でCDのcobblestone appearanceか否かを読み取ることが鑑別診断のうえで非常に重要である.その成因は,網目状に縦横に走行する潰瘍によって囲まれた残存粘膜が,島状に膨隆したものが集合することによる.通常は活動性の縦走潰瘍部に認め,名称は西欧の石を敷きつめた歩道に由来する.局所の炎症が高度な時期にみられ,治療により,所見は軽快ないし消褪する.炎症性ポリープの密在との判別は難しい場合があり,通常はこの場合もcobblestone appearanceと呼ぶが,縦走潰瘍の並存がない点が異なる.小腸では典型的なcobblestone appearanceを呈する頻度は低いが,CDでしかみられない極めて特異性の高い所見と言える(Fig. 1).
大腸では小腸より頻度が高い所見で,上行結腸や下行結腸(Fig. 2)で典型像を認めることが多い.高度のcobblestone appearanceは,難治化の要因でもあり,治療に抵抗して,狭窄や瘻孔を来すことが多い.したがって,大腸に高度のもしくは広範囲にcobblestone appearanceを認める症例では,抗TNF-α抗体など有効な治療を早期に行う必要がある.
大腸では小腸より頻度が高い所見で,上行結腸や下行結腸(Fig. 2)で典型像を認めることが多い.高度のcobblestone appearanceは,難治化の要因でもあり,治療に抵抗して,狭窄や瘻孔を来すことが多い.したがって,大腸に高度のもしくは広範囲にcobblestone appearanceを認める症例では,抗TNF-α抗体など有効な治療を早期に行う必要がある.
参考文献
1)飯田三雄.クローン病診断基準の改変.難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(渡辺班)平成19-21年度総合研究報告書.pp 48-56,2010
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