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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔腸〕

偽膜(pseudomembrane)

著者: 大川清孝1 井上健2

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2大阪市立総合医療センター病理部

ページ範囲:P.715 - P.715

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 偽膜とは黄白色の扁平あるいは半球状の低い隆起であり,組織学的にはフィブリン,粘液,好中球,上皮残渣,壊死物質などから成る炎症性物質が粘膜表面に付着した隆起である.形態的に偽膜を形成した腸炎を偽膜性腸炎と総称する.そのほとんどがClostridium difficile(Cd)による腸炎であるが,他の病原微生物(ブドウ球菌,腸管出血性大腸菌,赤痢アメーバ,サイトメガロウイルス)による感染性腸炎や虚血性腸炎でも偽膜や偽膜様所見を呈することがある(Fig. 1)1).しかし,通常偽膜性腸炎と言えば偽膜を形成するCd腸炎を指す.

 偽膜性腸炎は基礎疾患をもつ患者が広域抗菌薬を服用後に発症することが多い.菌交代現象によりCdが増殖して毒素を産生し,偽膜性腸炎を発症する.診断は嫌気培養でCdを検出,あるいは便中Cd毒素の検出による.大腸に主に認められるが,炎症性腸疾患の手術後では小腸に病変を認めることがある.

参考文献

1)松本主之,藤澤律子,河内修司,他.感染性腸炎の最近の知見─Clostridium difficile感染症.胃と腸 43 : 1629-1636, 2008
2)岩下明徳,原岡誠司,高木靖寛,他.消化管感染症の病理.胃と腸 37 : 286-304, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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