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特集 図説 胃と腸用語集2012 画像所見〔全消化管〕
側面変形(lateral deformity)
著者: 高木靖寛1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科
ページ範囲:P.717 - P.717
文献購入ページに移動 側面変形とは,癌のX線二重造影側面像における消化管壁の内腔側への変形であり,深達度診断の客観的な指標とされ,治療方針の選択に重要な所見である.管腔が十分拡がった二重造影像で判定され,その成因は,癌細胞量とそれに伴うfibrosis,反応性のリンパ濾胞増生などによる病変部の硬さと周囲の非癌部の消化管短軸方向への伸展性の差で現れると考えられている.
側面変形の形態と癌の浸潤量,深さとは密接な相関があり,牛尾ら1)は消化管癌の側面像における一側変形の型を4つのパターンに分類している(Fig. 1).すなわち,無変形,角状変形,弧状変形,台形状変形であり,台形状変形は固有筋層またはそれ以深に浸潤した進行癌の所見である.弧状変形では癌巣が粘膜下層にmassiveに浸潤しているかまたは固有筋層に少量浸潤している所見,角状変形では粘膜下層への中等量の浸潤,無変形では癌巣は粘膜固有層にとどまっているか,粘膜下層に極少量浸潤したものと報告している.牛尾らの分類は主に大腸癌の深達度診断で検討されてきたが,食道癌,胃癌でもその有用性が報告されている.
側面変形の形態と癌の浸潤量,深さとは密接な相関があり,牛尾ら1)は消化管癌の側面像における一側変形の型を4つのパターンに分類している(Fig. 1).すなわち,無変形,角状変形,弧状変形,台形状変形であり,台形状変形は固有筋層またはそれ以深に浸潤した進行癌の所見である.弧状変形では癌巣が粘膜下層にmassiveに浸潤しているかまたは固有筋層に少量浸潤している所見,角状変形では粘膜下層への中等量の浸潤,無変形では癌巣は粘膜固有層にとどまっているか,粘膜下層に極少量浸潤したものと報告している.牛尾らの分類は主に大腸癌の深達度診断で検討されてきたが,食道癌,胃癌でもその有用性が報告されている.
参考文献
1)牛尾恭輔,後藤裕夫,村松幸男,他.消化管癌のX線診断における側面像─二重造影による深達度診断.胃と腸 21 : 27-41, 1986
2)細井董三,平塚伸,熊谷洋一,他.早期食道癌の診断─X線診断の進歩の現状.臨消内科12 : 1695-1704, 1997
3)小田丈二,入口陽介,水谷勝,他.食道表在癌のX線学的深達度診断─X線造影像にみられる側面変形による深達度亜分類診断の試み.胃と腸 45 : 1451-1466, 2010
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