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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔咽頭・食道〕

表在型食道癌(superficical esophageal cancer)

著者: 門馬久美子1 吉田操2

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2財団法人早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.724 - P.724

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 「食道癌取扱い規約」1)によれば,“表在型”とは,病型分類の0型を言い,癌腫の壁深達度が粘膜下層までの癌であり,リンパ節転移の有無は問わないとされている.表在型(0型)は,表在隆起型(0-I型),表面型(0-II型),表在陥凹型(0-III型)の3型に亜分類できる.さらに,0-I型は0-Ipと0-Is(Fig. 1)の2つ,0-II型は,表面隆起型(0-IIa,Fig. 2),表面平坦型(0-IIb,Fig. 3),表面陥凹型(0-IIc,Fig. 4)の3つの亜型から成る.粘膜癌の大半が0-II型を呈するのに対し,粘膜下層癌の多くは,0-I型と0-III型あるいは0-IIc型(主に混合型)を呈する.表在型食道癌は,全食道癌症例の約32%を占め,その約84%は0-II型であり,0-II型の中では,0-IIcが68%を占める2)

 表在型食道癌の壁深達度と脈管侵襲・リンパ節転移頻度は,密接に相関しているため,治療法の選択は,主として壁深達度を参考に決定する.このため,治療前の正確な深達度診断3)が必要である.表在型食道癌に用いる深達度亜分類1)では,基本的に粘膜癌(M癌)と粘膜下層癌(SM癌)の2つに分けられる.さらに,M癌は,上皮内癌(T1a-EP),粘膜固有層癌(T1a-LPM),粘膜筋板癌(T1a-MM)の3つに分けられる.SM癌は,粘膜下層の上1/3までの浸潤(SM1),中1/3までの浸潤(SM2),下1/3までの浸潤(SM3)の3つに分類されている.リンパ節転移がほとんどないT1a-EP・LPM癌には,内視鏡治療〔EMR/ESD(endoscopic mucosal resection/endoscopic submucosal dissection)〕を含めた局所的治療が適応である.リンパ節の転移頻度が10%程度のT1a-MM・SM1癌には,標準的治療としては,リンパ節郭清を含めた外科治療を原則とするが,EMR/ESD治療後の病理所見を参考に何らかの追加治療を行う症例が増加している.リンパ節転移を高頻度に伴うSM 2~3癌には,リンパ節郭清を含めた食道癌根治手術が標準治療である.

参考文献

1)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,10版補訂版.金原出版,2008
2)Ozawa S, Tachimori Y, Baba H, et al. Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan(2002). Esophagus 7 : 7-22, 2010
3)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道表在癌の深達度診断─通常観察と色素内視鏡.胃と腸 46 : 650-663, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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