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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔咽頭・食道〕

食道炎症性疾患:Crohn病,Behçet病(esophageal inflammatory disease)

著者: 小野陽一郎1 平井郁仁1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科

ページ範囲:P.735 - P.735

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 食道炎症性疾患で最も頻度が高く,日常診療で遭遇することが多い疾患として逆流性食道炎が挙げられる.ほかには,低頻度で時に診断に難渋する疾患として自己免疫性疾患に伴う食道炎〔Crohn病(Crohn's disease;CD),Behçet病(Behçet's disease;BD)など〕,薬剤性や腐食性食道炎,感染性食道炎(カンジダ,ヘルペス,サイトメガロウイルスなど),アレルギー性食道炎(好酸球性食道炎)などが挙げられる.本稿では,CDやBDなど自己免疫性疾患に伴う食道炎を中心に概説する.

 CDにおける食道病変の合併頻度は1.8~13%であり,上部消化管病変がCD進展のリスク因子とも言われている.内視鏡所見はアフタ~小びらんが多く,多発性で,びまん性あるいは縦列傾向の配列を示すことが多い.重症例では気管や気管支,肺への瘻孔形成,狭窄などを合併することもある1).また,大型びらんや潰瘍などの高度病変とCDの病勢との相関も示唆されている.食道病変の頻度は高くはないが,食道病変からの生検におけるgranulomaの検出率は30%程度である.したがって,診断的な意義は決して低くはない2)

参考文献

1)Rudolph I, Goldstein F, DiMarino AJ Jr. Crohn's disease of the esophagus : Three cases and a literature review. Can J Gastroenterol 15 : 117-122, 2001
2)平井郁仁,岸昌廣,佐藤祐邦,他.Crohn病の食道病変 : その合併頻度,臨床像,内視鏡所見について.胃と腸 46 : 1233-1245, 2011
3)岩室雅也,岡田裕之,川野誠司,他.Behçet病の上部消化管病変に対する検討.消臨 12 : 219-224, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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