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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔胃〕

陥凹型胃腺腫(depressed adenoma of the stomach)

著者: 長浜孝1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科

ページ範囲:P.744 - P.744

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 現在,胃生検組織診断分類でGroup 3と診断される病変は腺腫と称され1),その肉眼型のほとんどは隆起型である.そして,胃腺腫内の5~15%程度1)2)の頻度で,病理組織学的に隆起型胃腺腫と全く同様の異型を呈しながら,肉眼的に陥凹の形態を呈するものがあり,陥凹型胃腺腫と称されている.しかし,病理学者によっては,このような陥凹型病変自体,異型を伴う再生であるのか,あるいは0-IIc型の高分化腺癌そのものなのかなどが明確でなく,胃dysplasiaとして通常の胃腺腫とは独立した疾患単位とすべき立場もあり,いまだその病態は不明な点も多い.

 陥凹型胃腺腫の癌化の頻度は5~68.4%1)~3)と,隆起型胃腺腫(2.5~6.9%1)~3))と比較してmalignant potentialが高いとする報告が多いが,両者間で癌化の危険性に差はないとする報告4)も認められる.

参考文献

1)Nakamura K, Sakaguchi H, Enjoji M, et al. Depressed adenoma of the stomach. Cancer 62 : 2197-2202, 1988
2)山田至人,大井田正人,坂口哲章,他.陥凹型腺腫の内視鏡的検討─IIc型早期癌との鑑別.Gastroenterol Endosc 35 : 2392-2401, 1993
3)三輪一博,土山寿志,平野桂,他.術前生検Group III病変に対する内視鏡切除例の臨床的検討.ENDOSC FORUM digest dis 26 : 17-26, 2010
4)八尾隆史,大屋正文,中村俊彦,他.胃腺腫の悪性化の危険因子─特に肉眼形態,組織像および形質発現との関連.胃と腸 38 : 1367-1375, 2003
5)Yao K. How is the VS(vessel plus surface)classification system applicable to magnifying narrow-band imaging examinations of gastric neoplasias initially diagnosed as low-grade adenomas ? Gastric Cancer 2012(in press). doi : 10. 1007/s10120-011-0132-3

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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