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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔胃〕

胃MALT リンパ腫(gastric MALT lymphoma)

著者: 岩谷勇吾1 赤松泰次2

所属機関: 1信州大学医学部内科学第二講座 2地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立病院内視鏡センター

ページ範囲:P.749 - P.749

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 MALTリンパ腫(extranodal marginal zone lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue)は1983年にIsaacsonら1)によって提唱された低悪性度B細胞性リンパ腫である.好発部位は消化管,眼・付属器,甲状腺,唾液腺,肺などであるが,最も発生が多いのは胃である.胃MALTリンパ腫の多くはHelicobacter pylori(H. pylori)感染による慢性胃炎を背景に発生し,除菌治療によって寛解に至る.胃MALTリンパ腫の発育は緩徐であり一般に致命的となることは少ないが,他臓器へ浸潤したり,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に形質転化した症例も存在する2)

 原発性胃悪性リンパ腫の肉眼分類は佐野分類3)により,表層型,潰瘍型,隆起型,決壊型,巨大皺襞型の5型に分類されるが,胃MALTリンパ腫では表層型が最も多い.表層型をさらに,早期胃癌(0-IIc型)類似型,胃炎類似型,隆起型の3つに分類すると,前2者がその大半を占める4).早期胃癌類似型胃MALTリンパ腫(Fig. 1a)では早期胃癌に比べて病変範囲が不明瞭であることが多く,蚕食像や表面模様の無構造化が観察されない4).また,多発病変であることも特徴である.胃炎類似型(Fig. 1b)では内視鏡診断の正診率は低く,内視鏡所見や臨床経過が非典型的でない胃炎に関しては積極的にMALTリンパ腫を疑って生検を行う必要がある4)

参考文献

1)Isaacson P, Wright DH. Malignant lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue. A distinctive type of B-cell lymphoma. Cancer 52 : 1410-1416, 1983
2)Akamatsu T, Mochizuki T, Okiyama Y, et al. Comparison of localized gastric mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)lymphoma with and without Helicobacter pylori infection. Helicobacter 11 : 86-95, 2006
3)佐野量造.胃の肉腫.胃疾患の臨床病理.医学書院,pp 257-283, 1974
4)赤松泰次,北原桂,白川晴章,他.胃MALTリンパ腫の内視鏡所見─早期胃癌や胃炎との鑑別診断.胃と腸 44 : 805-812, 2009
5)Nakamura S, Sugiyama T, Matsumoto T, et al. Long-term clinical outcome of gastric MALT lymphoma after eradication of Helicobacter pylori : a multicentre cohort follow-up study of 420 patients in Japan. Gut, in press

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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