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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕

大腸鋸歯状病変(serrated polyp)

著者: 長谷川申1 鶴田修1

所属機関: 1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門

ページ範囲:P.762 - P.762

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 大腸鋸歯状病変はSP(serrated polyp)やserrated lesionと呼ばれ,腺管が鋸歯状の管腔構造を呈する病変である.現在のところ病理組織学的にHP(hyperplastic polyp),SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp),TSA(traditional serrated adenoma)と3つのカテゴリーに分類することが提唱されている1)(Table 1,Fig. 1).

 従来,大腸の鋸歯状腺管構造を有するポリープは病理組織学的に過形成性ポリープと診断され,非腫瘍性病変であり癌化の危険性はない病変と考えられていた.しかし近年,HPやSSA/Pを介した新しい大腸癌の発癌経路である“serrated pathway”2)3)が提唱されるようになり,特にSSA/Pとされる病変は右側結腸に発生する遺伝子不安定性(microsatellite instability;MSI)陽性大腸癌の前駆病変とされ注目されている.しかしわが国におけるSSA/Pの診断基準はいまだコンセンサスが得られておらず,現在,大腸癌研究会プロジェクト研究において検証中である.またその内視鏡診断についても学会・研究会にて種々報告されている最中である.

参考文献

1)Snover DC, Ahnen DJ, Burt RW, et al. Serrated polyps of the colon and rectum and serrated polyposis. In Bosman FT, Carneiro F, Hruban RH, et al(eds). WHO classification of Tumours of the Digestive System, 4th ed. IARC Press, Lyon, pp 160-165, 2010
2)Hawkins NJ, Bariol C, Ward RL. The serrated neoplasia pathway. Pathology 34 : 548-555, 2002
3)Kambara T, Simms LA, Whitehall VL, et al. BRAF mutation is associated with DNA methylation in serrated polyps and cancers of the colorectum. Gut 53 : 1137-1144, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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