胃と腸47巻5号

2012年05月発行

特集 図説　胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕

大腸低分化腺癌（poorly differentiated adenocarcinoma in colon and rectum）

著者： 吉川健二郎¹ 山野泰穂¹

所属機関： ¹秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲：P.766 - P.766

　大腸の低分化腺癌は比較的まれな組織型で，その頻度に関しては多数の報告をまとめると全大腸癌の1.9～7.7％とされ^1），「大腸癌取扱い規約」では充実型（por 1）と非充実型（por 2）に分類している^2）．その特徴として，局在は右側結腸に多い傾向があり，進行癌で見つかることが多く，早期癌の報告はまれである．また低分化腺癌では腫瘍径が小さいうちから粘膜下層以深に浸潤し，高率にリンパ管侵襲，静脈侵襲，リンパ節転移を来すと考えられている．

　進行癌の肉眼型は，菅井ら^3）の報告では2型が45.3％と最も多いが，高分化腺癌と比べて3型（21.4％），4型（9.5％）の頻度が高いとしている．

参考文献

1）金尾浩幸，田中信治，寺崎元美，他．小さな低分化早期大腸癌の2例．胃と腸 45 : 1769-1776, 2010

2）大腸癌研究会（編）．大腸癌取扱い規約，7版補訂版．p 27，2009

3）菅井有，上杉憲幸，幅野渉，他．大腸低分化腺癌の腫瘍発生と分子異常．胃と腸 45 : 1734-1748, 2010

4）斉藤裕輔．大腸低分化腺癌の初期像とその進展─主題症例･主題関連症例のまとめ : 臨床の立場から．胃と腸 45 : 1830-1832, 2010

5）八尾隆史，平橋美奈子．大腸低分化腺癌の初期像とその進展─主題症例･主題関連症例のまとめ : 病理学的立場から．胃と腸 45 : 1833-1835, 2010

6）吉川健二郎，山野泰穂，木村友昭，他．早期大腸低分化腺癌の3例．胃と腸 45 : 1791-1798, 2010