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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕

colitic cancer

著者: 岩男泰1 松岡克善2

所属機関: 1慶應義塾大学病院予防医療センター 2慶應義塾大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.768 - P.768

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 炎症性腸疾患,特に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)の長期経過例に癌・dysplasiaの発生頻度が高く,累積発癌率が10年で1.6%,20年で8.3%,30年で18.4%とメタアナリシスで報告されている1).これら炎症性腸疾患に合併する癌をcolitic cancerという.用語としてはcolitis-associated colorectal cancer(UCの場合はUC-associated colorectal cancerもしくはcolorectal cancer associated with UCなど)が適切と思われるが,慢性炎症に伴う発癌というニュアンスがよく伝わるため,特に本邦ではcolitic cancerの呼称が好んで用いられている.欧米においても論文タイトルには使用されることがある.

 通常のadenoma-carcinoma sequenceと呼ばれる腺腫を介した発癌過程に対し,炎症によって遺伝子の変異・異常が蓄積し,dysplasiaと呼ばれる粘膜内腫瘍を介して大腸癌に至るinflammation-dysplasia-carcinoma sequenceという考え方が提唱されている2).若年発症し多発する傾向がある.

参考文献

1)Eaden JA, Abrams KR, Mayberry JF. The risk of colorectal cancer in ulcerative colitis : a meta-analysis. Gut 48 : 526-535, 2001
2)Velayos FS, Loftus EV Jr, Jess T, et al. Predictive and protective factors associated with colorectal cancer in ulcerative colitis : a case-control study. Gastroenterology 130 : 1941-1949, 2006
3)岩男泰,三上修治,向井萬起男,他.colitic cancer/dysplasiaの早期診断─拡大内視鏡を中心に.胃と腸 43 : 1303-1319, 2008
4)岩男泰,井上詠,松岡克善,他.早期大腸癌の精密画像診断─UC関連早期大腸癌.胃と腸 45 : 849-858, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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