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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕

瘻孔癌(fistula cancer)

著者: 池内浩基1 内野基1

所属機関: 1兵庫医科大学炎症性腸疾患センター

ページ範囲:P.775 - P.775

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 瘻孔癌については明確な定義が存在するわけではない.極めてまれな病態であるため,痔瘻癌の定義に準じて,(1) 瘻孔の両側臓器に癌がないこと,(2) 癌が瘻孔形成以前に存在していたという可能性を否定できるほど十分に長い瘻孔歴があること,の2つの条件が一般的に用いられている.Skir1)はゆっくりと発育する癌が瘻孔形成以前に存在したことを否定できるだけの期間,具体的には瘻孔形成より約10年以上経過していれば癌は続発性であり,慢性炎症により引き起こされたと考えてよいとしている.

 1990年以降本邦の報告例を,痔瘻癌を除いて医中誌で検索した.21例の報告例があり,最も多い要因は慢性化膿性骨髄炎に起因する瘻孔からの発癌で8例,続いてCrohn病(CD)の内瘻または外瘻に起因する報告が6例あった.最近の欧米の報告では,17年間にCD症例6,058例のうち4例に瘻孔癌の合併があり,CD以外の病態からの瘻孔癌の発生はなかったと報告されている2).本邦においてもCDの長期経過例は増加しており,瘻孔癌合併症例の報告は今後増加することが予想される.CDに合併した瘻孔癌の2症例を以下に示した.

参考文献

1)Skir I. Mucinous carcinoma associated with fistulas of long-standing. Am J Surg 75 : 285-289, 1948
2)Baars JE, Kuipers EJ, Dijkstra G, et al. Malignant transformation of perianal and enterocutaneous fistulas is rare : results of 17 years of follow-up from The Netherlands. Scand J Gastroenterol 46 : 319-325, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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