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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕

虚血性大腸炎(ischemic colitis)

著者: 大川清孝1 宮野正人1

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科

ページ範囲:P.776 - P.776

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 虚血性大腸炎は,大腸栄養血管の可逆性閉塞に基づく一過性の大腸粘膜虚血によって生じる疾患である.病態は不明であるが,心原性や微小血管の攣縮,細動脈硬化などの血管側因子と腸管内圧亢進および腸蠕動異常などの腸管側因子が絡み合い,腸粘膜あるいは腸管壁の血流低下を引き起こして虚血状態を作ると推定されている.飯田らの診断基準をTable 1に示す1).突然強い腹痛が起こり,続いて下痢が起こり徐々に血性下痢となってくるという特徴的な臨床症状にて本症を疑い,緊急内視鏡にて診断するのが一般的な診断の流れである.

 下行結腸,S状結腸に好発し区域性病変を示し,中心部が最も強い所見を呈する.典型的な急性期の内視鏡像は縦走する白苔と周囲の発赤である(Fig. 1)2).白苔は盛り上がり,偽膜様であるが,多くはびらんであり短期間に軽快することがほとんどである.組織では粘膜上皮の変性,脱落,壊死がみられ,腺管の立ち枯れ像は虚血性大腸炎の特徴的な像である.発赤は白い線で区画され,うろこ模様と呼ばれるが,本症に特徴的な所見である.組織では間質の浮腫と粘膜内出血であり腺管の変化はみられない.暗赤色の粘膜が認められる場合は(Fig. 2),組織学的には出血壊死であり,虚血の程度は重篤で狭窄型や壊死型の可能性があり,慎重な対応が必要である.慢性期では狭窄型の場合は管状狭窄や縦走潰瘍瘢痕を呈する.

参考文献

1)飯田三雄,松本主之,廣田千治,他.虚血性腸病変の臨床像─虚血性大腸炎の再評価と問題点を中心に.胃と腸 28 : 889-912, 1993
2)大川清孝,佃 博,青木哲哉,他.虚血性大腸炎急性期の内視鏡像の検討.Gastroenterol Endosc 46 : 1323-1332, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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